言えなかった言葉 - スポンサー広告染まっていく心

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言えなかった言葉

ハルキの実家...義母の家は2駅向こうの街

5月の半ばだというのに初夏を感じさせる今日
甘い物が苦手だったハルキが唯一口にしていた
フルーツソルベを持って電車に乗り
見慣れた景色が流れていくのを見ていると
目的の駅にはすぐに着いた

「緊張するなぁ...」

今日の気候のせいか緊張のせいか
体がじっとりと汗ばんできた...

数回...数えるほどしか行ったことがないけど
ちゃんと覚えているもんだ

この店も、あの店も覚えてる...

もう少し...

あそこを曲がって少し行けば...


結婚したら2世帯住宅に建て直そうか
なんて言ってた家は古いけど温かみのある家だ

「ふぅ......よし!」

インターホンの前で気合を入れ少し震える指で押すと
すぐに義母が対応してくれ玄関を開けてくれた

「ご無沙汰して申し訳ありません」

頭を下げる私に義母は優しくにっこり微笑んで

「久しぶりね、どうぞ上がって」と
家の中に招き入れてくれた

「あのう、これ冷たいものなので...」

「あら有難う...後で一緒にいただきましょう」

「はい、、あ...ハルキも好きだったので...」

「じゃ~頂くときに供えましょうね」


まずお線香をと思い仏壇のある部屋に通してもらうと
気遣った義母は私を1人にしてくれた

仏壇の上には最後に見た屈託のない笑顔のハルキ...
お線香に火を付け手を合わせながら心の中で
ハルキに声をかけた


ハルキ...久しぶり
ここに来ていいのかどうかずっと迷ってた
あの別れが永遠の別れになって...

いつからだっけかな...
私達がすれ違うようになったのは...

いつからだっけかな...
私達の心が離れてしまったのは...

ズルイ私は現実から逃げて
ちゃんと向き合うこともなく
貴方に別れの言葉を言わせたんだよね


ごめんね....
最後まで言えなかった言葉・・・




嗚咽をあげ涙する私にふわりと風が纏った


「ハルキ!」


そんな気配がして思わず声を出して
いるはずもないハルキを呼んだ

しんと静まり返る部屋には返事は無く
見下ろすハルキの遺影に胸が痛む

涙も止まり1人呆然としているところに
お茶を持った義母が静かに腰を下ろした
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