さまよう愛 - Loved Sadistically ~サディスティックに愛されて~ fc2 ver.

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スイートルームで贅沢な夜...のハズが...

少し渋滞があったせいか もう日もどっぷりと暮れ
街は華やかな夜の街へと変わっていた
その中心街を離れ車はいつものホテルに着く...

「夕食もここで済まそう...」

夕食”も”...その後”も”?...

そんな色気のありそうな言葉も

お昼を食べたっきりで少し遅めの夕食

鮑に大きな海老...お野菜 それらを食べても
私のお腹は納得していないようで・・・
目の前で焼かれるお肉が待ち遠しく...

「ナナミちゃん? そんなに睨まなくても
もうすぐ焼けるよ?」

「えっ? あはっ....ハハハハハ・・・」

お腹がいっぱいになるとスカイラウンジへ行き
カクテルを飲みながら目の前に広がる景色を楽しむ

「今日は凄く楽しかったです ありがとう日向さん」

「どういたしまして 僕も久しぶりにのんびりできた...
疲れたでしょ?後は部屋でゆっくり飲めばいいよ?」

「あ.....はぃ...」

エレベーターが止まったのはすぐ下の階
部屋のドアを開け「どうぞ」と言ってくれた日向さんに
「ありがとう」と言って部屋に入る

「あっ........すっごーーーーーーーい」

広い部屋は洋館の一室を思わせる部屋で窓からは夜景が楽しめる...
その奥の部屋には5人は寝れそうな大きなベット...

スイートルーム?だよね?? 初めてかも...


「急な予定だったから向こうでは泊まれないと思ってね」

驚きに言葉をなくしていると

「疲れただろう? お湯を張って ゆっくり入ってるといい
その間に飲み物もくるだろう 何か軽く食べる物もいるかな?」

「あっ、、、ええっと...」

「ぷっ まだ食べれそうだね」

お言葉に甘えて...と先にバスルームへ行き
ジャグジーのついた お風呂で身体を癒す

「ふぅうう  」

デートだけでも驚きなのに...
こんな素敵な部屋...

だけど....あぁぁぁぁぁ 5時起きだけあって眠い・・・


バスルームを出るとテーブルにはシャンパンとワイン
それと お洒落に少しずつ盛り付けられた料理...

先に乾杯を..とソファに座りシャンパンを飲む
乾いた喉に冷たいシャンパンが通っていく

「おいしい...」

食事の時もスカイラウンジでもそれほど飲まなかった
私と日向さんは あっという間に飲み干してしまった

「それじゃ後はワイン飲んでて?」

そう言ってバスルームに行く日向さんを見送り
ワインを飲みながら 軽くお料理を食べていると


やばい・・・早起きと心地よい疲れと酔い....超眠い...

あぁぁ 本当に・・・・


少し目を閉じると吸い込まれるように眠ってしまった私...
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自然の中でまったりと...

土曜の夜お店が終わって部屋に帰った私は
明日はお弁当を持っていこうと計画していた

あまり料理は得意ではないから
定番中の定番というおかずとおにぎりに決め
軽く下準備をしてシャワーを浴び眠りについた...

朝5時お弁当を作り始め たいした物も作っていないのに
出来上がったのは7時近くになって慌てて支度をした
8時に日向さんがマンション前に着いたとメールをくれた時
何とかギリギリな感じで支度は出来上がり
お弁当とお茶にコーヒーを大きなバックに入れ
日向さんの待つ車へ行くと

「凄い荷物だな...家出するみたいだ...」

「家出って・・・・」

車に乗り日向さんとのデートが始まる...

高速を走り県道を抜け
宿泊もできる施設の駐車場に車を止めて散策を始める

深く森の中を歩いていくと
青々しい緑と巨岩の間を飛沫をあげ清流が流れる

「なんか これぞ自然!って感じだな」

「ふふふ 紅葉の季節とかも良さそう」

「また その頃に来ればいいよ それより歩いてお腹が減ったね」

「そうね、少し戻ったところなら お弁当食べれそうだったわ」

「ナナミちゃんの お弁当かぁ~」

「味は保障しませんけど...食べれないことはないと思う...」

「あぁ 大丈夫 薬持ってるから」

「・・・・・・・・」

食べた後はのんびりしようと コーヒーを飲みながら自然の中でお喋り

「気持ち良いですねぇ~ 」

「安らぐねぇ~」

緑の匂いと水の流れる音...そして日向さんの声
ひとときの幸せを噛みしめながら 自然の中まったりと
普段よりも ゆっくりと過ぎて行く時間を楽しんだ

何も考えずその時だけを...


「ふぅ やっと駐車場に戻ってきたな」

「お疲れになってます? 運転しましょうか?」

「えっ、免許持ってんだ...」

「あ、、はい.....一応・・・あんまり乗ってないですけど」

「いや、、、大丈夫だよ・・・」

うん、一応ね言ってみただけなんだけどね...
そんなに困った顔しなくても・・・


そうして車は自然から少しずつ離れ街へと戻っていく...
非日常から日常へ・・・
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

デートに向けて...

お店が終わり携帯を見ると日向さんからメールが届いていた

≪今日は一緒に帰れなくて残念。デートの事考えといて?≫


「あら~ナナミ早速メール? ふふふ」

「レイコが煽ったんでしょっ」

考えるまでもない...じゃない.....

「ナナミ 返信しないのぉ~? クククク」

「今はしな~い」

明日起きたら返信しよう.....

そして次の日のお昼前私は日向さんにメールを送った

≪昨日はありがとうございました
嬉しいお誘いありがとうございます
日曜日を楽しみに待ってますね≫

≪何処か行きたいとことかある?それも考えておいてね
日曜までに1度店に行くから≫

行きたいとこかぁ...日向さんとなら
その辺の公園でも良いけど フフフ

本当に単純だ あれだけ気持ちも落ちたのに
喜んでる私って・・・

でも嬉しさで全て忘れて何も考えないわけじゃない
この嬉しさも束の間だって事はわかってる
何かあればこの嬉しさの何倍も悲しい事も...


それから また日は経ち 金曜日の夜遅く
日向さんはお店にやってきた...

「ナナミちゃん何処行くか考えた?」

「ん~ 日向さんは?」

考えてはくれたようだけど私の行きたいところをと言う...
私が有名な 渓谷はどうかと提案すると そこにしようと
行先はあっさりと決まりドライブを兼ねて
朝は少し早くなるけれでど迎えにきてくれると...

「ひゆ、う、が、さ~ん いらっしゃいませ~」

嬉しそうにレイコが席につき

「ふふふ デートプランはいかがですか~?」

「バッチリだよ レイコちゃん」


勿論この日もデートもあるし日向さんは1人帰っていった...

「レイコ...あんた絶対 楽しんでるでしょ~」

「まぁ~ね 何してもハッキリしないし
ちょっかいも かけたくなるじゃないのよ~」

「・・・ ハッキリしたら...」

「あーもう うざいわよ~」

行動派のレイコからしたら辛気臭いんだろうなぁ...
というか...私こんなに辛気臭かったかしら
レイコまでとはいかないけど こんなじゃなかった気が...


あぁぁぁ まぁいいわ とりあえず日曜...楽しみだわ フフフ
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

デートの約束

あぁぁ ダメダメ余計な事考えてはダメ仕事しなきゃ...
で?...何やら この前のBBQの話をしてるみたいね

「ね?ナナミBBQすっごく楽しかったよね?
日向さんはアウトドアな事ってやらないんですか?」

「あぁ...そう言えば久しくやってないな」

「お仕事忙しいですもんね」

「BBQとか そんな大げさじゃなくてもいいから
のんびりと自然を楽しんだりしたいな」

「気持ちがリフレッシュしますものね」

「ナナミちゃん レイコちゃん 今度一緒にどう?」

「私またお邪魔虫じゃないの~」

「ハハハ そんな事ないって」

「んも~私はいいですよ ナナミとお二人でどうぞ?」

レイコの おばか・・・

「そう? じゃ ナナミちゃん いつ行く?」

「へ?」

「今度の日曜は? 僕も仕事も落ち着いてるから休めるし」

「はい?」

真面目に言ってるのだろうか...

「もう 日向さんデートの約束はこっそりして下さいね」

「ハハハハハ デートか そうだね じゃこっそりメールして?」

デート.... あんな事があったのに
この言葉にこんなにドキドキするなんて...

「あ、、はぃ...」

そう静かに返事をすると

「それじゃ 楽しみに返事を待つとして 今日は帰るね」

と帰っていく日向さんをレイコと見送る

「ふふふ やったじゃん ナナミ?」

「素直に喜べないんだけどね」

「ウジウジしてないで 楽しんできなさいよ」


楽しんだら楽しんだ分 辛くなるかもしれないな
それでもやっぱり行きたいと思う私は

バカなんだろうな...


→大人の恋愛のためのラブリッシュラブエッセンス
塗って 香って 熱く 激しく 情熱的に

THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

余韻の後の...

マサ達の結婚報告は来ていた皆に幸せを与えた

「こんなに楽しくて幸せ気分なのは どれくらいぶり?」

「ナナミは酒浸りになってるからだろ...」

海を眺めビールを飲みながら呟く私にマサが答える

「ふふふふふ どっぷり頭まで浸かってるからね」

「アル中め! 」

「ぷぷぷ そうかもしれない~」

楽しい時間は過ぎ帰りの車の中は さすがのレイコも静かで
ほんわか幸せ気分の余韻に浸りそれぞれ帰っていった...

そうだ七瀬にも楽しさを分けてあげよう

≪ななせ~ 今日は健全に楽しく遊んできたよ~≫

レイコと肉にかぶりついてる写メを添付し送信する

≪おう!良かったな肉が食えて~ 早く寝てブタになれよ?
俺は不健全に仕事に励むから~≫

ブタ.... なんてこと言うかな~ プププ

でも、そうね せっかくだから もう飲まないで
ゆっくりお風呂に浸かって寝よう

次の日も余韻を残したままマサと東さんにメールを送り
営業メールと電話をして 同伴も入って楽しく仕事して...

余韻の薄れた3日目 日向さんがお店にやってきた

「日向さん いらっしゃいませ」

いつもの笑顔で接客を始める

あの時...私が追って行ったのを知らないだろう
あのキスが凄く悲しいものになったことも...

私はこの先も...私に好きだという気持ちがある以上
日向さんの言動に一喜一憂するんだろうな...

「ナナミ~?またどっかいってるの~?」

「あら レイコいたの?」

「これだよ~ 日向さん 」

「プププ いいんだよ横に居てくれれば」

「あ~~ハイハイ...ごちそうさま」

そんな事を軽々しく言わないでよ...人の気も知らないで
知るわけないか、、、言ってないし...
言ったらどうなるんだろう...

あぁぁ すっかり幸せの余韻が消えてしまったわ...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

待ちに待ったBBQと幸せの報告

早速レイコが次の日にマサに電話をし予定を決めていた

「ナナミ~ マサんとこ次の日曜休みだって~」

「あぁ 東さんも何かそんな事言ってたわ
せっかくの休みなら..って話からBBQになったって...」

「楽しみ~」

「レイコ 彼氏は大丈夫なの?」

「あぁ 日曜は大丈夫じゃない?」

トントン拍子に話は進んでいき道具も材料も
東さんとマサで用意するから 腹だけ減らして来いと...

それじゃ悪いからと金曜と土曜の買い出しに付き合い
お店も終わり 後は日曜の朝を待つだけになっていた

そして朝、
迎えに来たワゴン車に乗り込み走り出すと
もう遠足気分?賑やかな女3人に飽きれる男3人...
2時間ほど騒いでると目的のBBQのできるビーチに着いた

松並木と玉石を敷き詰めたビーチには
チラホラと同じ目的の人が集まりはじめ準備をしている

「うわぁ~キレイ~」

「ほんとだぁ~」

レイコと2人叫ぶとすかさずマサが言う

「お前ら酔って溺れるなよ」

テキパキと用意をする男性3人に はしゃぎながら手伝う私達
小さなテーブルに飲み物を置き
紙のお皿を持って焼けるのを子供のように待ってると
焼けたお肉や野菜をホレホレと入れてくれるマサ

その前に~と乾杯を、と缶ビールを手渡すと

「今日は俺と東はいいよ 運転もあるし」

「それじゃ悪いので」とレイコの彼氏も遠慮して

「んじゃ 今日は女だけつーことで お前ら飲んでいいぞ」

普通反対じゃない?とか言いながら3人の手には缶ビール...

「あぁ~~~しあわせ~~~~」

「ほんと こんな遊びなんて全然しないものね~」

「んじゃ~ 幸せついでに もうひとつ」

そうマサが言うとゆながマサの横に立つ

「俺ら結婚しま~す!!!」

「わぁ~~~ほんとに~?」

「嘘ついてどうすんだよ...ナナミ....」

「わぁああああ おめでとーーーーー」

もうそこからは飲んで食って騒いで暴れて...
心のモヤモヤなんて忘れてグチャグチャに盛り上がった
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

東さんからのお誘いは...

部屋に帰ると案の定というか恒例というか...

「ナナミ なあにしてたんだ?この不良娘が!」

「酔いつぶれちゃってね...」

いつものように独り言のように昨日の出来事を話す

「はぁ... ナナミ~ あんた大丈夫?」

「わかんない」

「あっちもこっちもって欲張ってると全部失くすよ?」

「あっちもこっちもって...日向さんだけじゃない...」

「友達って言っても七瀬も男だよ?」

「わかってる.....それよりレイコはどうなの?」

「どうなの?ってどうもないわよ
まだ もう少し先の話だし...離れて付き合うって事で
一応話は終わってるし 今は普通だし...」

「そっかぁ...」

結局そのままなんだ...ついて行ったりしないんだ...

「ナナミ? ほんとモテてんのは良いけど
ちょっとしっかりしなさいよ?
それじゃ私 今日同伴だから戻って支度するよ」

「モテてはいないんだけど?」

慌ただしくレイコが去った後の部屋は静かで
心地よい日差しが眠気を誘う...

モテてなんかないじゃない...
七瀬は友達だし日向さんは・・・身体だけだろうし....
あぁ、唯一 東さんが告白してくれたなぁ...

あぁぁぁぁねむい...

すっかり寝入ってしまった私はこの日遅刻をし
なんとなく思い出したせいか..


東さんがひょっこり お店にやってきた


「ナナミちゃん久しぶり」

「お久しぶりです」

「やっかいな仕事がやっと片付いて
美味い酒が飲みたいな~と思って」

「思い出して下さったんですか~ありがとうございます」

「そうそう この前マサのとこ顔出してね 今度 みんな誘って
BBQやろうよって話になったんだけど聞いた?」

そういやマサのところ行ってないなぁ...

「最近ちょっと行ってなくって...でも いいねBBQ
そんなアウトドアなことやらないからなぁ...」

「だろうと思ってね」

「ふふふふふ 楽しみ~」

その話を帰りにレイコにすると超ノリ気で
早く予定を立てようとはりきっていた...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬のキス

何処いっちゃったんだろう...
怒ってるよなぁ....
何も言わずに帰れないし...鍵ないし・・・

あぁぁぁ ほんと何てことしちゃったんだろ

私このままじゃ心も身体も壊れちゃいそう...
日向さんの言動に一喜一憂して
お酒飲んで潰れて...

でも どうにもならないんだよぅ...

なんか...疲れた・・・

酔いもあったのか..考えるのが疲れたのか
私はそのまま眠ってしまった...

「んん~っ あぁ...コーヒーの香り・・・
あれ、、、私、、、、、あっそうだ七瀬の部屋...」

ムクムクっと座りボーっと眺めてると
コーヒーを持った七瀬が上半身裸で...
上半身...はだか?...え...

「ひぃっ」

「何驚いてんの?つか、目ぇ覚めた?」

「覚めた・・・とりあえず上なにか着て...」

「あ? シャワー浴びて暑いんだけど...」

「着て...ください」

ぶつぶつ言いながらTシャツを被りコーヒーを口にする七瀬

「七瀬? 昨日は本当にごめんなさい」

「許さない」

「・・・うん...わかってるけど...ごめん...」

「嘘だよ そんな顔すんな
1つだけ、、、ホストなんて行っても一時気が紛れるだけだ
ナナミちゃんみたいなのに付け込むの結構簡単なんだよ...
いろんなヤツいるからな...」

「うん」

「あぁ、、それと.....」

そう言ったかと思うと横にいた七瀬の顔が私の顔に近づき
七瀬の唇が重なった...

「昨日の仕返し」

「・・・・・」

ボディソープの香とコーヒーの味...

「これで おあいこな? もう忘れろ」


私は酔って...だけど七瀬は...今は...シラフじゃない
それってズルくない?

「なんだその不服そうな顔は... あっ 物足りない?」

「た、、たりなくないわよっ!」

「ぷぷっ 早くコーヒー飲んで シャワー浴びて帰れ」


優しいんだか、、意地悪なんだか、、、
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

さまよう愛~七瀬涼side Ⅲ~

接客をしてる俺をヘルプのホストが呼び
ナナミちゃんがキャッチされてついていったと聞かされた

今 店出るわけにいかないし....潰れなきゃいいけど...
あぁ~なんでついていくかなぁ.....

男で悩んでんだろうけど
そんな時にホストなんか行ったら思うツボだって.....
同業のくせにわかんねーかなぁ..... 


とりあえず落ち着いたな...後は任せても大丈夫だろう

「俺 ちょっと出るから」

「え?」

「営業だ」

「あ、はい わかりました 何かあったら連絡します」

ったく...

店を出て辺りを見渡すと
フラフラと歩いてるナナミちゃんが見え俺に声をかけた

そんなに飲みたかったのかよ...

何かちょっとムカついた俺は部屋に連れ戻り酒を飲ませ
吐き出したい事があるなら聞こうと....

「ななせ...」

はぁ? そんな事がしたかったのか?

「俺はあの男の代わり?」...か???

何か更にムカつく...
それで気が済むなら...俺はホストだし何だってしてやるよ


ったく...そんな度胸も無いくせに....

「話してみ?聞いてやるから」

やっぱ...あの男の事か...でも...
里緒の雰囲気からすると別れたんじゃないのか...
どっちにしろ遊ばれてんだ...バカだなぁ...

「ナナミちゃん?」

「ん?」

・・・何言おうとしてんだ.....

「あ、いや、何でもない...泊めてやるから もう寝ろ」

一旦外へ出た俺は店に連絡と客のフォローの電話をし
1時間少しして帰ると ナナミちゃんはソファで眠っていた

・・・ベットで寝ろよ...人の気も知らないでバカが...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬の部屋で②

唇をそっと離すと七瀬が見つめながら

「俺は.....あの男の代わり?」

「あ..ちが...ぅ.....」

「いいよ? 俺はホストだから...
頼まれればキスだって何だってするよ」

無機質な...感情の無い声...
七瀬が腕を掴み引き寄せる

「ご、、ごめん、、なさい...」

「謝らなくていい」

えっ、、なな...せ....

「ちょっ..なに、、、」

「ん? 代わりが欲しいんでしょ?」

覆い被さってくる七瀬の顔が無表情すぎて...

「ち、ちが、、う...ごめ.....」

七瀬を突き放そうと伸ばす腕を簡単に抑えられ
上から見下ろされる

私が悪いんだ...
七瀬をこんな風にしちゃった私が...

もう、、友達じゃなくなっちゃう...

ごめんね七瀬

身体の力が抜ける...

「話してみ?聞いてやるから」

「えっ....」

座り直した七瀬が目を見ずに言う

私はポツリポツリと今日の日向さんとの事を話した

「もう やめとけ その男」

「そ、、う、、、思う、、んだけど...
忘れられたら...いいんだけど...」

「そんな簡単じゃねーか・・・」

「うん....」

「ナナミちゃん....」

「ん?」

「あ、いや何でもない...泊めてやるから もう寝ろ」

そう言いTシャツとスェットを手渡すと
ちょっと出るから鍵閉めておいて...と部屋を出て行った
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬の部屋で①

タクシーが着いた先は七瀬のマンションだった
私の腕を引きスタスタと歩く七瀬の足についていけない

「ちょっ...七瀬 はやいよ...」

少し歩くスピードを落としてくれ
ようやく部屋にたどり着きソファに座ると七瀬はキッチンに行き
ウィスキーと大きな氷の入ったロックグラスを持ってきた

グラスを渡されると七瀬がそれに なみなみとウィスキーを注ぐ

「あっ、、ちょっと...七瀬・・・」

「飲めば?」

「え、、、あ....うん」

コクコクと飲むと喉が熱くクラッとする

「なんで キャッチなんかについていった?」

「お酒...飲みたくて.....七瀬だめだったし...」

「なんで 理由も言わず電話切った?」

「お、、おしごと、、の邪魔かな..って」

怖いんだけど...
心で呟きながらグラスのウィスキーを口にする

ひと口...もうひと口... クラっとする頭に蘇る光景
コク..コク..コク...

「ふぅ...ごめんね.....帰るよ」

立ち上がろうとした瞬間ヨロけて凭れ掛かるように
七瀬の真横に落ち座る...

「ご、、、ごめん...」

「ナナミちゃん? 何かあるなら聞くから」

さっきとは違う優しい声で言う七瀬に私は...

「ななせ.....」


キスをした...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

残る感触

少し歩いた先のビルの階段を地下へと下りドアを開けると
煩い音楽とともに数人のホストが出迎えてくれる

席に案内され楓というホストが横に座り
改めて自己紹介と名刺をくれて

「とりあえず初回でいきましょうか」と言うので

「あぁ..ええ、、、」と返事をするとハウスボトルが運ばれてきた

「割りものはどうする?」

「ロック」

とりあえず酔いたかった私はそう言った

楓というホストが席を外すと ここもまた入れ替わり立ち代わり
いろんなホストが来て何かを喋り去っていく...
適当に返事をしてお酒を煽るも なかなか酔わない...

「ナナミちゃん楽しめてる?...
げっもうボトル半分?お酒強いね~」

「そうでもないよ」

楓というホストが席に戻って もう1人のホストと
何か一生懸命話してくれるけど

「えっ?」

「えええ 聞いてないの~」

そんな感じが続き盛り上がらない...

「あぁ ごめんね盛り上がらなくて」

「いいよ 静かに飲みたいならそうするから」

「ありがとう」

忘れたいのに..今だけでも忘れたいのに...
さっきの光景とキス...触れた唇の感触がいつまでも残る...

ボトルが3分の1になったころ
それほど酔った気しないのに お酒はすっかり回っているようで
お手洗いに立つとフラフラしていた

「ふぅ...帰ろう....」

お手洗いから席に戻ると 時間だけど...と言う楓に帰ると伝え
送り出してもらい歩き出すと 七瀬の姿が目に映った

「ななせ~」

「ったく...何やってんの?」

「なんか声かけられちゃって」

「声かけられたら付いていくんだ」

「ななせは~?お迎え?」

「あ、、あぁ...」

「そっか~ じゃぁ またねー」

ヨロヨロと歩き出す私の腕を掴む七瀬

「ひゃっ...」

「そんなに飲みたきゃ飲ましてやるから」

そう言って 連行するように私を引っ張り
タクシーに乗せられた

なんか雰囲気悪いんですけど?
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

キャッチに乗って...

誰この人? 知らないんだけど...

「どこか飲みに行くの?」

「いえ、帰ろうと...」

「じゃぁ ちょっとだけ来ない?」

だから...

「誰? 貴方...」

「俺は 楓 」

あぁ...どこかのホストか この辺り多いし

「キャッチ...ね...」

「いや、俺 今から出勤なんだけど...たまたま?」

「たまたまだろうが何だろうが...
キャッチに変わりなくない?」

「そう言っちゃ~そうだけど じゃあいいよ また」

まぁ いいかな飲みたい気分だし...

「行かないとは.....言ってないんだけど?」

「じゃぁ... あっ、えっと」

「ナナミ」

「ナナミちゃん ね...じゃぁ...」

今時な感じではなく少しワイルドな感じの楓と言う男
還流っぽい七瀬とは違うタイプだな...

あ、、あれって...七瀬のお店のホストだったよな...
あぁぁ...どうでもいいか...

「もう着くからね ナナミちゃん」

「あ、ええ...」

お酒飲んで酔えば... とりあえず今だけでも忘れられるよね...
永遠に忘れられたらいいのになぁ.....
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

シャレにならない意地悪

日向さん...そんなことしたら...

信号を渡った私の足がまた止まる
日向さんの声が...耳から離れない...

軽いキスなのに...声と触れた唇に...
身体がもっと...と求めてしまう

確かオフィスは・・・

...追いかけて....でも行ってどうするの?
仕事だって追い返されたら?

でも、、でも、、、何か...

このまま帰れない....


日向さんが歩いて行った通りの向こうに足早に歩く
後のことは後から考えればいい...
とにかく...もう1度声が聞きたい...日向さんに触れたい...

こっちだったよね....


・・・えっ あの女性...

仕事じゃなかったの?...

じゃあ...なんで今...キス・・・・・したの...

こんな意地悪はシャレになんないんだけど...
私って本当に・・・

あぁぁぁぁ もうヤダ!

慌てて通りまで戻ると何だか頭が混乱していて
さっきのキスも今見た事も...

あぁぁ 泣いてしまえば楽なんだろうか...
お酒飲んだら忘れる? 忘れるほど飲んで....

あぁそうだ七瀬のお店に...

そう思うと今度は急いで七瀬の お店に向かう
もう何だか頭は全然回転しなくて...

それでも お店の近くまで来ると
ふと 七瀬が店には来るな って言ってたのが頭を過り


「な..な...せ?」

私は七瀬に電話をかけていた

「ナナミちゃん どうかした?」

明るく返事する七瀬の声

「お酒...飲みたい...んだけど・・・」

「どうした?」

「なにも...なかった?」

「は? 何? 俺が聞いたんだけど...」

「そう....ね ...今 お店の近くなんだけど...」

「ナナミちゃん? だめって言っただろ?」

「そ、そう...だったわね...ごめん じゃあ..また..」


帰ろう...


電話を切ってそう思って歩き出した時だった


「ねぇ ねぇ 1人?」

「え?....」
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

さまよう愛~日向弘人sideⅧ~

ん? ナナミ?...あの男確か里緒とホテルに居た...

カラオケの斜め前の入り口で立ち止まっている日向

知り合いか...いや、男?...だとしたら...
って俺なんでこっそり立ち止まって見てるんだ・・・

それにしても...あの男...ホストか?
あ、、


「ナナミちゃん?」

「あれ日向さんどうされたんですか?」

どうされたって、、、

「あぁ そこの本屋へちょっとね」

「ナナミちゃんは?さっきの人とデート?」

って..何聞いてんだ俺...

友達か...ほほう、、、なら...いいか・・・
軽く飯も食いたいし誘うか...


ナナミってなんかこう話してると からかいたくなるな
表情がコロコロ変わるし 見てて飽きないというか...

抱いていてもそうだったな...

他の男にもああなんだろうか...


本当のところ男はいるのか...それとも気まぐれに...

・・・何気にしてんだ




あぁ..仕事戻らなきゃな、、、楽しみはまた今度か・・・
今度...あるんだろうか...この手で・・・


だめだ調子が狂う...



「それじゃナナミちゃん気を付けて?」


ぷぷ 何固まってんだ...キスくらいで

次があるなら...どうやって苛めようか・・・



「弘人」

「・・・・・里緒..」


なんだ今更・・・人が良い気分なのに...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

重なる意地悪な偶然と...

少し歩き出すと聞きなれた優しい声が私を呼んだ

「ナナミちゃん?」

振り返ると日向さんが立っていて
本当に本当にこの偶然は何なんだろうと...

「日向さん? どうされたんですか?」

「あぁ..そこの本屋へちょっとね」

「そうなんですか」

「ナナミちゃんは?さっきの人とデート?」

「え? あ..ああ、友達に暇つぶしに呼び出されて」

「そっか オフィス戻る前に軽く食事って思ってんだけど
ナナミちゃん一緒にどう?」

「いいんですか?」

ニコっと笑う日向さんの後ろをついて行く...

だけど私は...

カラオケ歌わず散々食べてたんだよね...
それも七瀬と一緒のところ見られたみたいだし...
疾しくはないけど...

本当に意地悪な偶然ばっか

でも 嬉しい...「ふふふふふ」

そんな
喜ぶ私にまたしても神様は意地悪をする...

「ナナミちゃん? 今日はあんまり食べないね」

「ふふふ 最近太っちゃって... でも食べますよ」

私の目の前のパスタ...あぁぁぁぁ 七瀬のバカ!

「そう? そんなに太ってないじゃない?」

「えっ...そ、、そうかな...」

「うん 見た感じより胸はあるけど」

「ぷっ ケホケホ.....な、、なに言ってんですか」

「あ ごめん セクハラ? プププ」

食べ終わった私達は その先の信号まで一緒で
そこで日向さんは右へ曲がり通りの向こうへ行く

私はこのまま真っ直ぐ....
あの信号がずっと先ならいいのに...

「それじゃ ナナミちゃん気を付けて?」

「あ、は.....」

返事をしかけた時だった...一瞬...ほんの一瞬....
日向さんの唇が私の唇に重なった

「じゃ~またね ナナミ...」

ドキッ...

信号が渡れずに立ち竦む私
通りの向こうへと歩いて行く日向さん...

これも...意地悪?・・・
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

何でもない日曜日...

あれからレイコは彼氏とは普通に過ごしているという
時の流れに身をまかせ...と言ったところだろうか...

私はと言えば...「また今度」の言葉を待つ日々
時々 別に電話やメールをしてもかまわないんじゃないか
そうも思うけど それは営業として?好きな人ととして?
と余計なことを考えると結局できずに今に至る・・・

そんな私を目の前にパスタを黙々と食べる男...

「だからね七瀬 私は七瀬の暇つぶしじゃないのよ?」

「えっ?俺べつに暇ではないんだけど?」

「なら呼び出さないでよ~」

「何?あの男とデートの約束でもあったの?」

「七瀬...喧嘩売りにきたの?」

「ううん 昼飯食いに」

「あんたこそ好きな人いるんなら その人誘いなさいよ」

「ナナミちゃん?食事中は静かにね?」

友達以上に友達すぎる...
っていうか私の友達はマイペースな人多すぎじゃない?
そういう私も超マイペースなんだけどさ...

「ふぅ~ごちそうさま 」

「怒りながらも しっかり食べるんだな プププ」

「ええ 食い気だけで生きてますから」

「じゃ~何処いく?」

「へ? 」

「暇でしょ?」

「ま、、、まぁ忙しくはないわね」

一体何なんだよ...とか思いながら
今 うっとり七瀬の歌をカラオケで聞きながら
アイスを頬張っている...

「ナナミちゃん歌わないの?」

「あ~私 音痴だからね」

「それにしてもよく食うな.....」

結局2時間ずっと七瀬が歌い 仕事だからと消えて行った...

まぁ そんな休みも悪くない...と


七瀬とカラオケを出て少し話して別れているところを
日向さんが見ていたとも知らずに.....
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

レイコの告白

コーヒーを入れソファに座るレイコに渡す

「ありがとっ! 」

「いいえ~ 500円いただきます」

「え~~~お金取るのかよっ!」

冗談を言いコーヒーを飲んだところでレイコが話し出す

「帰ってきた時から もしかしたらってのは言われてたんだ
だから その事については私なりに考えてたんだけどさ~」

コーヒーを一口飲んだレイコがトーンを変え続きを話す

「コウタってばね.......向こうで浮気してやがった...」

「えっ...確かなの?」

「うん 白状したしね」

数日前にお風呂に入ってる間に
彼氏に来たラインを見てしまったらしい

そのラインには帰ってきたら考え直して...と書かれてあり
問い詰めたらあっさり白状したと...

「そんな人に見えないけど」

「離れてたし 男だし いろいろあるでしょ...そこは」

「何 他人事みたいに納得してんのよ」

「もう絶対しない ちゃんと将来も考えてるって言われて
浮気は まぁ許せる けど将来って言われて....
私...そこまで考えてたっけ?って自分で思ったの」

「ええっ」

「一緒には居たいと思うし一緒に居て楽しいし理解もあるし
あぁ私はコウタが好きなんだな~って思うのよ
思うんだけど...将来...この先ずっとってなると.....
自信ないんだ・・・」

え、、あのレイコが自信がないって...

「それにね...コウタが帰ってきて出勤減らして
それはそれで良いんだけど...
私さ~本当に夜の仕事...今の店好きなんだよね
それに小さくてもいいから自分でやってみたいとも思ってた...
だけどさ...もしコウタと一緒の道を歩むなら無理じゃない?
一応コウタは跡取りなわけだし....」

「それ彼氏に話したの?」

「うん 店がやりたきゃやればいいって.....」

「なら良いじゃない」

「知らない街に行って知らない場所で?」

「あっ....そっか.....」

「知らない街で...友達もいない街で...
1から人間関係築くのは...さすがにキツイ気がする
ナナミやマサやゆなと離れるのは嫌だよぅ...

だからね 暫くは前のように会えるときに会って...
って感じで付き合っていこうって言って話は終わったんだけど
暫く経ったら何かが変わるわけじゃないじゃない?
ま、もしかしたら店を持ちたいって気持ちは薄れるかもしれない
でも薄れないかもしれない...」

レイコがこんなに弱気になるって余程なんだろうな

「たぶん...離れちゃったら別れちゃうと思う」

「仕方ないな レイコ 私がついていってやるから!」

「ナナミぃ......あんたバカぁ?」

「えええ!」

気持ちがあって...答えが出ない...今の私と同じだ
ならば なるようにしかならない
今は流れに逆らわず......

話すだけ話すと気分も楽になったと一旦部屋に帰り
残り物だけど と言ってシチューの鍋を抱え戻ってきたレイコは
今 元気に昼ごはんを食べている...

それでも やっぱり1人になると悩んだり考えたりするんだろうな
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

レイコの寂しい顔...その理由は...

程なくして日向さんの連れは来店し
指名客を送り出し戻ってきたレイコが席につく

少し残念な気持ちもあったけれど
どこかホッとしている自分もいた...

「楽しかったよナナミちゃん レイコちゃん」

あまり長居することなく席を立った日向さん達
2人を送り出す私とレイコ
1歩先を行くレイコと日向さんの連れ
その後ろを歩く私と日向さん

「また今度ゆっくりね...ナナミ...」

耳元で囁かれた言葉に身体に心地よい電気が走る

抱かれた時以外 日向さんがナナミと呼ぶことはないのに...

「それじゃ またいらしてくださいね?」

「ありがとうございました」

歩いていく2人を見送りながらレイコが

「ふふふ 残念だったわね」と笑う

「あら そうでもないわよ」と言いながら

また今度...
この言葉にドキドキしながらずっと見送る私

「戻るよナナミ・・・・・」

「あ、、、うん...」

ん?レイコ何か今少し寂しそうな顔したんじゃない

その理由は...
その日の帰りのタクシーの中で明かされた...


「コウタ...また仕事で前に居たとこに行っちゃうの」

「え...どれくらい...?」

「永遠に?」

「えええええっ」

「そこを任されちゃうんだって...」

「ついていかないの?」

「正直ね迷ってるの 別れる事も考えてる...」

「ええっ なんで.....」

「あ、、、着いちゃったし また明日ゆっくり話すよ」

「あぁ....うん・・・」

タクシーを降りエレベーターで
それじゃ明日部屋に行くよと帰って行ったレイコ

何かあったんだろうか?...


とりあえず明日を待つしかないと眠りにつき次の日を迎え
遅い朝レイコが部屋にやってきた...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬とレイコ

3日後レイコが会ってみたいというので
出勤前に予定がなければ食事をと誘った七瀬は
時間より少し遅れてやってきた

「遅くなってごめんね
あっ 初めまして七瀬涼です」

そう言ってレイコの前...私の隣に座る七瀬

「初めましてぇ~噂はナナミよりしっかり聞いてます」

「良い噂だと信じて!カンパーイ」

人懐っこい七瀬と人見知りしないレイコはすぐに打ち解け
何やら私の話題で盛り上がっているようだ...

「ねぇ~ほら すぐナナミワールドにいっちゃうのよ」

「ぷぷぷ だね~ 人の話聞いてんだか聞いてないんだか」

「あら ちゃんと聞こえてるわよ」

「七瀬こそすっかりレイコワールドに引き込まれちゃって
あぁ..レイコの洗脳には気を付けてね ふふふ」

「失礼ね~ 洗脳なんてしないわよ ナナミ以外は」

そうよ...そもそも日向さん日向さんって洗脳したのは
紛れもなくレイコなんだよねぇ...
洗脳っていうか私の心を引き出してくれるんだけど

それにしても...仕事前に元気な2人だわ


「それじゃ~ナナミちゃんもレイコちゃんも仕事頑張って?」

「うん ごめんね呼び出して 七瀬もしっかり疑似ってきて~」

時間になりお互い仕事へと向かい
あれだ喋りまくったにもかかわらず
お店でもレイコワールド全開でお客を楽しませるレイコ
やっぱ天職なんだな...と感心していると

「ナナミさん お願いします」とマネージャーが呼んだ

レイコワールドに感心していた私は
日向さんが入って来たことに全く気付かず
呼ばれた私の顔を見てニヤリと笑うレイコ...


私は挨拶をし席を立ち日向さんの席につく...

「いらっしゃいませ日向さん」

「あぁ...」

無愛想な一言とは異なる優しい笑顔で私を見て

「あ、今日はねもう1人...もう来ると思うんだけど...」

1人じゃないんだ...と少し残念な気持ちとは異なる笑みを浮かべ

「あら そうなんですか 」と明るく答える...


何を期待してんだろ....
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

さまよう愛~七瀬涼side Ⅱ~

ここのところ連日だな...あの男とは別れたのか...
男と別れて連日俺の身体を貪って...

ちゃんと恋愛できない寂しい女なんだな

「涼? なに考えてるの?」

「ん?里緒の身体が綺麗だから見とれてたんだよ」

これだけ貪欲なんだ1人じゃ満足できないんだろう...
それにしてもこう連日だとさすがの俺も...
  
「んぁあああっ りょ....う......」

やっとか...と胸に覆い被さる里緒の頭を撫で
果てた里緒を組み敷き自分も果てる...

大変だったろうな...あの男も...

あの男....里緒と別れたとしたら次はナナミちゃん?
割り切ってないみたいだったけど大丈夫だろうか...
あーあナナミちゃんもなんでまた客を・・・

俺が考えても仕方がないか...

早く目が覚めればいいな...


まっ
とりあえずは貢献してくれる里緒を精一杯愛してやらないとな


疑似だけど....

「んっ.....」

「里緒?」

「涼....」


さて寝ないと本当に身体がもたない...


「おやすみ里緒 」
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

さまよう愛~日向弘人side Ⅶ~

一緒に食事を..って よく普通に誘えたもんだな
それとも何か言い訳しようっていうのか
それはそれで面倒臭いが....


そんな事を思いながら
里緒との待ち合わせ場所に向かっていると
トボトボと歩きながら
自分の世界に浸ってるナナミが目に入った

「ナナミちゃん?」

「あ 日向さん こんばんは?」

しかし...まぁ狭い街だ仕方ないと言えばそうだが
偶然会う時ってタイミング悪いな.....

挨拶程度の会話をしてあっさりナナミと別れた俺は
里緒の待つダイニングバーへ行き
先に着いて待ってる個室に入る

「早かったね 弘人」

「あぁ 」

飲み物と軽い食事を頼んで静かに食べる俺に
何かと話しかける里緒 様子を見てるのかきっかけが無いのか...

「里緒 俺はオマエが何をしようが別に何も言うつもりはない」

「・・・ 言い訳も聞かない...って事.....」

「最初に言っただろ?束縛もしないし束縛もされたくないと...」

「言ったけど...」

「里緒 もういいだろう」

「それって.....もう会わないってこと? お互い自由でいいなら
このまま今迄のように....」

「俺と寝て 他の男と寝て?」

「そ、それは....弘人も同じじゃない....」

「そういう付き合いだったんだろ?」

「それでも.....好きだから・・・」

「あの若い男も好きだからホテルに誘ったって事?」

「・・・・・もう...わかったわよ」


俺ってサイテーな人種だな
だからこそ割り切れる女を選んできたつもりなんだがな...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

見られていた あの日...

「七瀬はお客様に恋したことない?」

「俺は客全てに恋してるよ」

夜の仕事...ホストらしい返事をする七瀬更に

「疑似恋愛 それが俺の仕事だからね~」

「疑似恋愛か~ そうだよね~」

本気で好きになったりしちゃダメだよね...

「ナナミちゃんは客に恋してるの?
あのホテルで一緒だった男?」

「えっ...」

やっぱ見られてたんだ...七瀬もホテルに居たのかな
好きな人いるって言ってたし...

「枕かなって一瞬思ったけど
そういうタイプじゃないからなナナミちゃんは」

「そう思われても仕方ないか~」

「いいんじゃない好きなヤツなら寝ても...」

「レイコもそう言うんだけどさ...」

「そう言うしかないじゃん?
説教染みた事言っても聞かないでしょ」

「まぁ~ね」

確かにね変に説教されたり正論を並べられても...
理屈はわかってるから わかってても自分で止められなかったから

「でも バカだな」

「うん バカだね」

「それよりさ 腹減らない?」

「減った・・・」

そう返事すると簡単なものなら...と七瀬はキッチンに行き
トーストを焼いてサラダとベーコンエッグを作ってくれた

「お料理するんだ~ いただきまーす」

「普通にちゃんとやるよ?つか、これくらいは
料理ってほどのものじゃないだろう...」

ふんわりサクっと焼けたトーストをかじり
七瀬特製のドレッシングのかかったサラダを頬張り
カリカリベーコンに半熟玉子の黄身を絡ませ食べる

「ふぅ~美味しかった ごちそうさま」

「昨日意識なくなるほど飲んで泥酔してても食べれるんだな」

「ええ 色気より食い気ですから」

「たしかに...色気はないよな」

「ふふふ いいんだよ~」

「ナナミちゃん 寛ぐのはいいけど...
帰らなくていいの?今日は仕事だろ?」

「あぁぁぁぁぁ 言わないで~」

そうして
全く色気のない一夜を過ごし朝を共にし
楽しくも奇妙な時間は流れ
七瀬が呼んでくれたタクシーに乗って部屋に帰った
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬の本音

とりあえずシャワー浴びたら?と言う七瀬の行為に甘えて
シャワーを浴び 着替えて戻ると 七瀬が飲み物を聞いてきた

「何飲む? 」

「あ、、お水...」

ミネラルウォーターのキャップを開け手渡してくれる七瀬

「ありがとう...」

それをコクコクと飲み コーヒーを入れている七瀬に

「七瀬....ごめんね」

カップを2つ手にしテーブルに置きソファに座り

「とりあえず座ったら?」

「うん」

「危機感ないというか隙がありすぎるというか...
何があったかわかんないけど 酔いすぎだろ?」

「はい.....スイマセン...」

「俺みたいな紳士なヤツが友達で良かったな」

「え、、それ自分で言う?」

「自分で言わなきゃ ナナミちゃんは言ってくれないっしょ」

「ぷぷ そんな事ないよ~ 優しい良い友達だと思ってるよ」

「よろしい」

たった3回会っただけなのに...友達になって...

「ねぇ七瀬? 友達になったのは本当に偶然?」

「ん? ああ そうだけど?......
ハデに転んだ人を偶然助けて......

っっ...はいはい本音はね

助けた人に もしかしたら?って名刺渡したら
ご丁寧にお礼のメールがきてさ
ホストの性で あぁ..イケるかもとか思ってさ
お茶に誘ってみたら来たし....

でも...話してるうちに 客とかどうでも良くなって...」

「同業だから?」

「いや、
途中から本当に仕事関係ナシで友達ってのもアリかなって...
なんかそういうドロドロしたのばっかだったし
ナナミちゃんとは そういう風になりたくないなって思って...

まっ信じる信じないはナナミちゃん次第」

「そっか ありがと素直に話してくれて」

「うん だからもう店にはこないで?
飲みたい時は外で付き合うから」

「あ~あ 七瀬みたいな人好きになればよかったな~」

「俺ごときに そんな事思うって...
あんま良い恋してなさそーだね...」

「ま~ね~ アハハハハ」

本当に良い人だと思う
出会い方が違ったら好きになってたかもしれない
まっ、それはそれでまた辛いんだろうな ホストだし...



七瀬はお客様に恋しないのかな...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬の部屋で迎えた朝

何で七瀬と??ここは??? 頭を混乱させてると

「なんでってここは俺の部屋で これは俺のベット...」

「なるほど......で? なんで私ここに...あ...」

慌てて掛け布団を覗くと...

「ひぃぃぃぃぃぃぃ なんでTシャツ?」

「服 皺になるだろ」

「いや...そうじゃなくって~~~」

「ん? 着替えたから?」

「えええええええ」

「だから うるさいってば...」

「まじ...」

「あぁ、、、やってないよ?」

「へ?」

「俺 泥酔してるヤツ襲う趣味ないし ましてナナミちゃんだし」

「だったら...なんでーーーーー」

「あ~うるさい わかったから...」

と昨日の出来事を話しだした七瀬...

私は七瀬の持ってきたワインをほぼ1人で空け
記憶は無いが その後もご機嫌で焼酎を飲み
泥酔した私を送ろうとしたものの意識は飛んでいて
家もわからないから仕方なく七瀬の部屋に連れ戻ったらしい

「でも...一緒に寝ることないじゃない・・・それに...」

「着替えるから服を出せと言ったのもナナミちゃんですが?」

「・・・・・そんなに酔ってた?」

「うん ヤバイくらいに・・・」


あぁぁぁ 酔って男の部屋に転がり込むなんて...
何もなかったからいいけど...っていうか

七瀬に悪い事しちゃったな...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

まさかの失態?

それから入れ替わり立ち替わりにホストが席につく
結局よくわからないまま話をし焼酎を飲んでると
七瀬がワインを持って席にやってきた

「悪いなあんまり相手できなくて...」

とワインを注いでくれる

「あ...うん 大丈夫 意外と楽しいから」

「なにそれ 意外って」

「なんか いろんな人が座って話してくれるんだけど...
君達みんな営業トークだわよって思うと可笑しくって」

「....嫌味な楽しみ方だな・・・だから嫌だったんだ」

「えぇぇ 七瀬にそんな事思ってないよ?」

「ずっと営業でしょとか言ってたくせに?」

「ふふふふふ ま~いいじゃない」

「って言うかな 初回は2時間」

「もう そんな経った? あーあ」

「そんな残念そうな顔するな 今日はいいよ
せっかく来たんだし気のすむまで営業トークを楽しめ」

そう言って七瀬はまた他の席に行った

ちゃんとホストやってるんだな...当たり前か...フフフ
それにしても七瀬 忙しそうだな~
ナンバーって言ってたの嘘じゃないかも?

でも、あれよね営業ってわかってても
こうやってチヤホヤしてくれてると楽しいよね
そうやってハマってくのかな

わかってて お店に来てお酒を飲んで
そんなお客様が楽しめるように努力して....

日向さんは遊び慣れてるだろうから
そんなこと百も承知で...
そんな日向さんを誘ってしまった私は...

はぅぅううう....

考えない為にここに来たのに....

って...あれ.....あぁぁぁ酔ってるみたい?

とりあえず帰る....かな


ここで記憶が途切れた私


んん~っ あれ いつ帰ったんだっけ???・・・・

あれ、、ここ....???

っていうか...

「ええええええええええええ!」

「ん..ん~なんだよ....うるさいな」

なんで?

「なんで 七瀬が寝てんのよ!!!」

まさか・・・
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

思いつきの行動

大都会じゃないし 狭い街で偶然会うのもおかしくはないけど
なんでこう いつも なんで?って時なんだろう...
やっぱり私は前世で大罪を...

「ナナミちゃん?」

「あ 日向さん こんばんは?」

「ぷっ 疑問形? っていうか何してるの?」

「あ..ええ 友達と食事をしてて...日向さんは?」

「ああ、待ち合わせに行くとこだけど」

あぁ...あの女性かな...聞くんじゃなかった...

「そ、そうなんですか、、、じゃ...」

「あ、ああ、、、じゃまた....」

ドラマのように行かないで!
なんて言ったらドン引きされるんだろうな アハハハハ....ふぅ

なんだかなぁ...

そうだわ 気分転換に七瀬んとこ行って驚かしてやろう フフフ

待ち合わせと聞いて気分の落ちた私は思いつきで
七瀬のお店に行ってみることにした

確か...この辺・・・あぁ..このビルか....
思いつきで来たけど大丈夫かしら 電話した方が...
いや それじゃ~驚かないよね

恐る恐るドアを開けると少し煩い音楽と
「いらっしゃいませ」という男の声

「あ、七瀬さん いらっしゃいます?」

「はい お席にご案内しますのでどうぞ?」

案内された席で跪いておしぼりを手渡すホストが

「少しお待ちください」と去っていくと

さっきとは違う雰囲気を纏った七瀬がやってきた

「いらっしゃいませ?ナナミさま??」

なんで疑問形なの?そしてなんで無愛想なの?

「ちょっとね飲みが足らなくって...」

「1番高いワインお出ししましょうか?」

「そ、、、それは.....っていうか 怖いんだけど?」

「ナナミちゃんは客にしたくないって言ったよね?」

「と、、ともだちでも
お店には来たりするでしょ......ごめん....」

「何かあった?」

「え? 何もないけど....」

「まぁ いいよ 初回にする?」

「何それ...」

システムを説明されて返事をする間もなく1人のホストに
初回だからと 言い 私に割りものはどうするか聞く七瀬

「あ、、えっと...ウーロンで?」

焼酎のウーロン割りを作ってもらい少し話してると
七瀬は呼ばれて席を離れていった....
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

不思議な偶然

スキダケド スキナノニ スキダカラ スキナンダ ...

好きだけど どうしようもなくて
好きなのに 言葉にはできなくて
好きだから 貴方に抱かれたいと思ってしまう

私は日向さんが スキナンダよ?

1度口にした「好き」という言葉も
今は言葉にしたら何かが壊れそうで...


あれから4日...

「で? だから何で私なの?七瀬君?」

「ドタキャンされたし?1人で飯も侘しいから?」

「ふぅぅぅぅ ま~いいけどね」

せっかくの休み...1人BARにでもと支度をしてると
呼び出された私は七瀬と居酒屋で飲んでいる・・・

「そう言えばさ~ この前ナナミちゃん見かけたんだけど?」

「ん~? どこで? 」

「ホテル?」

「えっ...」

「あ~心当たりあるんだ ぷぷぷ」

「ないわよ」

なんなのよ急に....ったく....

「それより七瀬 仕事じゃないの?」

「あぁ そうだけど」

「呑気に私とご飯食べてていいの?」

「呑気に食ってる訳じゃないけど」

「ドタキャンはお客様なんでしょ?
他つかまんないなら行ってあげましょうか?」

「ご心配どうも でもナナミちゃんは客じゃないから
店には来なくていいし 俺これでもナンバーだから気にしないで」

「あら 嫌味なヤツだわね 」

その後すぐに客が迎えに来いって言ってるからと
七瀬と居酒屋を出て別れた...

なんなのよ...もう
まぁ私も1人だから別にいいんだけど...
それよりホテルで見かけたって...冗談で言っただけよね
まぁ見られてても悪い事してるわけじゃ...悪い事よね...
七瀬と出会った時に知らない人って言っちゃってるし...
本当に見られてたら...

あぁぁぁぁ 考えるのやめよう

考えると...思い出すと会いたくなる....声が聞きたくなる...

声が....声を聞いたら...

「ナナミちゃん?」

あぁぁ幻聴まで聞こえるって私 重傷?


って...違う...


なんか偶然多くない?
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

スキダケド スキナノニ...

「ナ~ナ~ミ~ また朝帰りぃ~?ってか 昼近いけど...」

ご機嫌で窓拭きをしていたレイコが
タクシーから降りてきたナナミの姿を見つけ
無理やり窓を拭きを終わらせナナミの部屋に来ている

「あら バレちゃった?」

「バレちゃったじゃないわよ? で、日向さん...よね?」

「あ...うん....」

「何か進展した? しそう?」

「してない...ってか この先も進展はしなさそうかも...」

「それでいいのナナミ?」

「良いも何も...なんかね断れなくって....つい...」

「断れなくて ついやっちゃうほど
日向さんのセッ*クスは良いってことか~」

「そ、それだけじゃ、、ないわよ...」

「だけじゃないってことは それもあるんだねぇ~」

「・・・・・つ、、次、、は断るわよ...」

「あら なんで?」

「なんで、、、って.....」

「ちゃ~んとわかってて それでもやっちゃったんでしょ
なら納得するまでやっちゃえばいいじゃん」

「そ、、そんな...
それに・・・やっぱり彼女には悪いかなって...」

「だから言ったじゃん 前に奪えば?って」

「そんな自信ないし...何かさ....」

「奪っても また誰かに奪われちゃう?」

「そうね...」

「でも 身体は奪っちゃったんだよねぇ~」

「レイコ...何か楽しんでない?」

「そんな事ないわよ? ナナミを心配してますよ いつも」

わかってるんだけどねレイコが私を心配してる事は...
私の心の内を突きながら 肯定も否定もする事無く
私が私の気持ちと向き合えるよう 時に ちゃかしながら話すんだよね

私の気持ち...か....


スキダケド スキナノニ スキダカラ スキナンダ....


何かそんな歌あったよね?
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

さまよう愛~七瀬涼side Ⅰ~

あぁ..あれ?ナナミちゃん...とあの男は...

「どうしたの涼?」

「いや、別に」

この女...松本里緒と一緒にあの時に居た男...だよな
なるほどねぇ 似た者同士か つかマズイよな?やっぱこの状況...
タクシー乗んねーで電話に出てるし...

「ねぇ 涼?」

「ん? 」

タクシーを乗ろうとしていた日向の携帯が鳴り
乗り込む前に電話に出ている

「だからね? 今度.....」

その光景を横目で見る七瀬涼と
気付かずに七瀬に話しかけている里緒

七瀬がマズイなと思い気付かれないよう そして気付かないよう
斜め後ろのエレベーターの方へ
引き返そうと声をかけようとした時だった


何か理由つけて引き返した方がいいよな....

「り....ぉ...」

って...あっっちゃ~

立ち竦む里緒の視線の先の日向もこちらを見ている...

「あっ.....ひろ...と....」

その姿を目にし何事も無かったように
電話を切り知らぬ顔でタクシーに乗る日向

あれ...あの男もこっち見てたよな...気付いてないのか...
んな訳ないよな...しかしどうすんだ この女...
ちょっと意地悪してみるか

「里緒? どうした?」

「えっ ううん何でもないわ 行きましょう」

なんでもない顔してないけど...まぁいいか


まだ2度しか来ていない この女...里緒は
知り合いに初めて連れて来て貰って俺を気に入ったと言い
昨日1人で来て俺を指名し大金を使い俺を誘惑した...

誘惑された訳じゃない 金を落とすと直感したから...

それなのに....この状況 ツイてないな...俺とした事が...


それよりナナミちゃんは....アイツも枕か?.......
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

イケナイ事

「んんっ.....ひゃっ」

心地よい疲労感で
目を開けると日向さんが私を覗き込んでいた

なんか...朝からからかわれてる?

って、、、あっ

日向の重なった唇が静まった身体を呼び起こそうとする

「んんっ.....ッハァ」


あぁぁ...もう完璧日向さんのペースじゃない...

・・・マジからかってるよね...

バスルームから出ると日向さんは私の頭を撫でバスルームへと行く


はぁぁ...ダメだなぁ私・・・断れないじゃないね?
このまま身体だけの関係になっちゃって
そのうち飽きたら...

あぁぁぁぁ 朝から変な事考えるのやめよう...

軽く身支度を整えながら1人ぶつぶつと思ってると
バスローブを纏った日向さんがシャワーを終え出てきた


バスローブの前 肌蹴ちゃってるんだけど...
あの胸の中で昨日....

「ナナミちゃん? 脱いで着替えるけど...見る?」

「えっ...あ、、いえ...」

後ろを向いて俯いていると終わったよと声をかけてくれる

その後 朝食を済ませフロントに下りると10時を回っていた

「じゃ送っていくから」

「あっ...いえ 日向さんお仕事でしょ?私は大丈夫ですから」

「今日は大丈夫だよ」

「だめですよ ちゃんとオフィスに行って下さい」


そんな会話をしながら入口に向かう2人を後ろから見る男

あぁ...あれ?ナナミちゃん...とあの男は....

「どうしたの涼?」

「いや、別に...」


別々にタクシーに乗り
部屋に帰った私は1人昨日の事を思い出していた


はぁぁぁぁ だめだわ...
っていうか昨日の私ってば...大胆すぎじゃない....
あれじゃまるで・・・

いやそうじゃなくって...諦められない.....

それに 日向さんと居ると深く考えないようにしてるけど
やっぱ彼女なんだよね あの女性...
だとしたらやっぱイケナイ事してるんだよね...

イケナイ事....
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

さまよう愛~日向弘人sideⅥ~

「まいったな...」

腕枕の中でスヤスヤと眠るナナミを見て日向が呟く...


昨日 俺の身体の上を妖艶に舞っていた淫靡女とは思えないな...
羞恥と淫靡.....それにこの無垢な寝顔.....

「んんっ......ひゃっ」

もぞもぞと動きゆっくり目を開けたナナミが小さく声を上げる

「なに驚いてるの」

「日向さんの顔が近くにあったから?」

寝惚け眼で言うナナミはいつものナナミだ

「あまりにも無防備に寝てるから襲ってやろうかと思って」

「えっ....ダメです」

「ダメなの? それじゃ身体に聞いてみようか?」

「そ、、それは、、、、」

近づけた顔を更に近づけナナミの唇に唇を重ねる
浅くなく深くなく ほんの少し官*能を煽るように...

「んんっ....ッハァ」

「身体は良いって言ってるみたいだけど?」

「で、、、で、、も、、、」

「ククククク.....じゃまた次に苛めることにするよ」

「い...いじめるって・・・」

「ぷぷ シャワー浴びておいで? なんなら洗ってあげるし」

「ひとりで、、、大丈夫です・・・・」

そんなナナミを見て笑いを堪えていると

「あのぅ.....後ろ向いててもらえませんか?」

「あ、、あぁ....昨日散々見たんだけど....」

「・・・・・・・」

「わかった...後ろ向いてるから」

そう言って見えないよう後ろを向いくと
もぞもぞとしバスルームに早足で行った...


可笑しいヤツだ...


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THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

狂いそうなほどに(R18)

深いキスの嵐の後...日向さんは全身に舌先と唇を這わす
焦らさず感じる部分をより刺激的に...

すぐさま呼び戻された官能の渦が
瞬く間に大きく揺れていく

続きは官能的な文章を含みますので苦手な方や
好ましく思われない方、18歳未満の方は閲覧しないで下さい

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THEME:恋愛:エロス:官能小説 | GENRE:小説・文学 |

声に感じて跳ね踊る身体(R18)

日向さんに上からもう1度深いキスを落とし
探るように日向さん自身に私自身をあてがうと
日向さんの両手が私の腰を掴む...

続きは官能的な文章を含みますので苦手な方や
好ましく思われない方、18歳未満の方は閲覧しないで下さい

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私を感じて...(R18)

前屈みになり日向さんの顔に顔を近づけ唇をつけ
柔らかな唇の感触を味わい愛*撫する...

柔らかい日向さんのシャンパンの味のする舌先が
半開きの私の唇をなぞり私はその舌を咥え舌を絡める...

続きは官能的な文章を含みますので苦手な方や
好ましく思われない方、18歳未満の方は閲覧しないで下さい

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今だけ...私に奪わせて...

お喋りをしながらグラスの中のシャンパンを飲み干すと
日向さんが立ち上がり上着を脱ぎながらおでこにキスを落とした

「ナナミ シャワー浴びておいで?」

「あっ...はい...」 

「なんなら一緒に入る?」

「えっ...あ..いえ....大丈夫です」

「ククククク....そう?じゃぁ脱がしてあげようか?」

「えっと...それも大丈夫かな...」

意地悪な笑みを浮かべながら
上着をハンガーに掛ける日向さんを横目にバスルームに行く
服を脱ぎ髪を纏め上げシャワーを浴びる.....

バスルームを出るとバスローブを纏った日向さんが
ソファで1人シャンパングラスを傾けていた
その横にちょこんと座ると日向さんがまたおでこにキスを落とし
バスルームへ消えていく

「遊び慣れてんだろうな...」

日向さんのグラスを眺めながら そんな事を思う...
その眺めていたグラスの中に残ったシャンパンを飲み干し
ボトルからシャンパンを注ぐ

「ぷぷ 間接キス」

そんな事を思う私は...前より余裕があるのだろうか

バスルームから出てきた日向さんが
私を見て笑みを浮かべベットに横たわる

その笑みも声も指も...今は私のもの....今だけは...

私の心を奪っているように日向さんの心を身体を全てを
今だけ私に奪わせて...

シャンパングラスを片手にベットに横たわる
日向さんの横に座り整った顔を見下ろしながら
シャンパンをひと口含み
その吸い込まれるような目を見つめながら
日向さんに唇を重ねシャンパンを流し込む

ゆっくりと唇を離しグラスをベットサイドにそっと置くと
日向さんの手が首に回り 再び ゆっくり ゆっくり
唇を味わうようにキスをした
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

抑えきれなかった欲...

それ以上 その優しい声を聞いたら...

「ナナミ...」

その声で名前を呼ばれたら...

だめっ やめて...触れて欲しくなるから...

俯く私に日向さんはニコっと優しい笑みを浮かべ

「わかった...」

「ひゅうがさん...」

「ん?」

「かえ......らない...」

言っちゃった・・・

「ん 」

歩きだす日向さんの少し後ろを歩いて行く
タクシーのある通りまで...

その距離が遠く長く感じて
自制心を抑えられなかった自分が...高揚していく自分が怖い...

停まっているタクシーに日向さんが先に乗り行き先を告げる
私が乗り込むとすぐにドアが閉まり走り出すタクシー

タクシーが停まったのはこの前と同じホテルの正面入り口前...
車を降りロビーに入ると 待ってて? とフロントへ行き
キーを貰った日向さんが私の所へ来る...

この時間に予約も無しに...そう言えばこの前も...
いつも使ってるのかな...あの女性とも・・・

そう思うと歩く足が止まる

「どうしたの?」

「あ...あの.....」

ここまで来て...

「いえ...どうもしないです」


部屋に入ると日向さんはソファに座り優しく笑って

「すぐにシャンパンが届くから座って?」

「はい...」

程なくしてボーイがシャンパンを持ってきて乾杯をする

怖い...この後の展開よりも もっと先が...
日向さんにとっては遊び...だから...

傷つくとわかって自分を制御できない自分が...
抱いて欲しいと思う自分が怖い...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

自分を抑制しようとしても...

なんで? っていうか言い逃げ? どうしよう・・・
お店なら何とか仕事だと自分に言い聞かせる事が出来ても...

それから閉店までの1時間と少し考え無いように考えないように
そうするには飲むしかなかった... 

「お疲れさまでした~ お先に失礼します」

いつものように誘ってくれただけよ
意識しなきゃいいんだ...意識しなきゃ...意識....

あぁぁぁダメ!いらないこと考えない!!

携帯を取り出し電話をかけると少しして日向さんが出た

「はい...」

「あの...日向さん?」

「あぁ 終わった?」

「はい...」

お店が終わった事を伝えると お店のある通りから少し行ったところの
ワインバーに居るからと伝えられた

「わかりました 今から伺います」

扉を開け入って行くと
カウンターで1人ワイングラスを傾けている日向さんがいた

「すいません...お待たせしました」

「何飲む?」

「あ..じゃ日向さんと同じものを...」

ダメだぁ...こんな雰囲気のあるところじゃ意識しちゃうじゃない
しかも さっきと違いネクタイ外してボタン外して...
あぁぁぁぁ...

「すいません...あのぅ おかわり頂けます?」

小さな声で斜め前の男性に言うとニコっと笑いワインを注いでくれる

「ぷっ...そんなに急いで飲まなくても...」

「あはははは 美味しくって つい...」

なんとなく男の雰囲気を漂わせる日向さんを意識しちゃうから...
もう1度抱かれたいと思ってしまうから...

「あぁ~ ほんと美味しいですね
こんな良いお店が近くにあったなんて知らなかったな」

「そう 気に入ってもらえて良かった」

何かひたすら喋ったような気がする...
笑って 飲んで 喋って 笑って...

でも...一緒にいると切ないんだよ日向さん.....

「じゃ~行こうかナナミちゃん」

「はい 」

ワインバーを出た私は日向さんにお礼を言う

「ごちそうさまでした 凄く美味しかったです」

「ナナミちゃん.....」

少し静かな声で日向さんが名前を呼ぶ

「はい?」

「帰る?」

「えっ....あ...えっと....ええ...はい....」


やめて...その声と目とこの雰囲気.....
自制心が抑えられなくなっちゃう
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さまよう愛~日向弘人sideⅤ~

店の近くまで行くとナナミは客を送っていた
そして俺を見て驚き小さな声で俺の名を言う...

「日向さん...」

店に入って話していても何処か上の空で...
まぁこれは今までもあった事だが・・・何か少し違う...

気まぐれで誘った事の罪悪感...俺に対して?自分自身に対して?

それにしては...その目は反則だろう

「そんなに見つめたら口説くよ?」

「へ? あ...あぁ...ええ??見てました私?」


調子狂うな...まぁ良い感じに狂うからいいんだが...


さてワインも開いたし帰るかな


「ありがとうございました またいらしてくださいね?」

「あぁ..それじゃ またねナナミちゃん」


くそっ...無理....

「ナナミちゃん終わったら電話して待ってるから」


何言ってんだ俺?

誘ってどうする?

また一緒に飲んでそれから?


まぁ言ってしまったものは仕方ないか...

そうだな..待つしかないか


俺は数度入った事のあるワインバーへ入り
2杯目を飲み終わる頃 ナナミから着信があった

一旦外へ出てワインバーに居る事を伝えると
伺いますと言って電話は切れた
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帰り際の言葉

「日向さん.....」

目の前に立った日向さんの名前を小さな声で呟いた

「ん? ナナミちゃん?」

「あ..いえ 日向さんお久しぶり?」

「あぁ 仕事が少し忙しくてね 」

お店に入り日向さんを席に案内し一緒に座る

「今日はワインがいいな ナナミちゃんも飲むでしょ」

「あ、はい....じゃぁ...」

ワイングラスにワインを注ぎカンパイをし話をする...
ごく普通に...何事もなかったかのように...

私が意識し過ぎなのかな
日向さんにとっては誘った女に付き合っただけなんだろう...

「ナナミちゃん?」

「あ、、はい?」

「ぷっ 相変わらずだな」

「え?..あっ...日向さん お食事は?」

「あぁ 1人で食べて来たよ」

そうよね...
これから飲みに行くのに彼女と食事はしないよね

その優しい声も...そのしなやかな指も...
柔らかいその唇も彼女の・・・

「そんなに見つめたら口説くよ?」

「へ? あ...あぁ...ええ??見てました私?」

やだ私ったら そんなにガン見しちゃってたかしら...ハズカシイ

「ぷっ 和むね~ ナナミちゃんは」

「もしかして褒められてます?」

「うん 褒めてるつもり」

そして...きっと
あの時の私の好きって言葉も流れで言ったと思ってるんだろうな...

ワインが空になると日向さんは「じゃあ...」と言って席を立つ
入口でサインを済ませた日向さんとお店の外に出て

「ありがとうございました またいらしてくださいね?」

ちゃんと普通にお仕事できたよね?と心で自分に問いかけ

「あぁ..それじゃ またねナナミちゃん」

と言う日向さんを見送っていると少し歩いた日向さんが
スタスタと戻ってきて何かを言っている...

「えっ?.....」

突然の言葉に驚いた私に日向さんがもう一度言う....

「ナナミちゃん終わったら電話して待ってるから」

返事をする間もなく日向さんは踵を返し歩いて行く


ええええええ???
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レイコの優しさ

2日後 レイコが閉店後に珍しくBARへと誘ってきた
彼氏は大丈夫なのかと心配して聞くと

「だいじょ~~ぶ!たまにはナナミ孝行しなきゃグレちゃうでしょ」

「グレちゃうって...学生じゃないんだから・・・」

「いやいやナナミさん?大人になってグレたら大変なのよ?」

これもレイコの優しさ...なんだよね


BARに着くとレイコを見たマサが彼氏はどうした大丈夫かと聞く

「んもぉ~2人共 実は私よりコウタの心配してんじゃない?」

「は?当たり前だろ
放ったらかして夜遊びして酒浴びて帰って来られる身になってみろ」

「あら 友達も大切にする良い女だなって思ってるわよ?」

私を大切にしてくれるレイコ...そんなレイコにも
彼氏との時間や自分の時間も大切にして欲しい...

たまにこうしてバカ言ったり愚痴ったりしながらお酒飲んで...
この先も...ずっと友達で...

「ちょ ナナミ? またどっかいっちゃってる?」

「え? いや友達っていいなぁ~って」

「ぷっ なにそれ今更?」

「あ...友達と言えばねレイコ...私友達できたんだぁ~」

「ほほぅ..って小学生か! で?」

あの雑踏での悲しくも笑える出来事と七瀬の事を話す...

「へ~ ホストねぇ...」

「まぁ~人の事は言えないでしょ」

「でも、男と女の友情ってあり得るの?」

「レイコ...一応マサも男なんだよ...いちおうね」

「マサは別もんでしょ 男と思ったことないし」

「お前らに男と思われなくても結構」

「ゆなだけでいいのよねぇ~マサく~~~ん」

久しぶりにレイコとのBARでの時間は楽しく
その日も気持ち良く眠りにつけた...


そんな次の日...

指名客を送り出し見送っている私の目に日向さんの姿が映った...
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さまよう愛~日向弘人sideⅣ~

ホテルのベットに横たわる日向...
その上で日向の身体に唇を這わす里緒...

「弘人...どうしたの?」

あまりその気のない日向に里緒が聞く

「どうもしない...」


そう別にどうって訳じゃあない...

ただ...ふと ...あんなに翻弄されていていながら
少し寂しげな顔したナナミを思い出すだけ...

それに あの街で里緒がぶつかった女はナナミだったよな
あの男は......

「弘人? んもぉ~」

「悪い... 」

そう言ってシャワーを浴び出てくると
不貞腐れた里緒がシャワーを浴びに行く

昨日の夜 散々やったのにまだ足りないのか貧欲な女だな


それにしても あの夜からナナミは何も言ってこない
単なる気まぐれだったのか...

それならそれでいいが...あの身体を.....
ナナミともう1度肌を合わせたいと思うのは・・・

いや、それこそ単なる男の欲望だろう...


ホテルを出ると正面のタクシーに乗り込み1人帰る里緒

「ったく... 女ってのは面倒だな...」


そのままオフィスに行くと待ってましたとばかりに
次から次へと仕事をやらされる...
まだまだ弱小企業だから仕方が無いと言えば仕方がないし
別に仕事をするのは嫌いじゃない

やり上げた時の達成感と
ひと時ではあるが解放感がたまんないんだよな


ふう...


ちょっと落ち着いたら店に行ってみるか...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

迷子の私と迷う心

七瀬と別れた私は夕暮れの空が少しずつ暗く
夜の街へと変わっていく空の下を足の向くまま歩いた
頭をカラッポにし周りの景色を楽しみながら...

「ふぅ ここっていったい何処?」

普段タクシー移動ばかりで出かけると言えば
ショッピングを楽しむ中心街 そして お店のある繁華街
その他も目的地までがタクシーで
少し離れるとあまり知らなかったりする...

「あはははは....私ってば 迷子?」

バックから携帯を取り出しナビを見る

「ん~ 結構歩いてるわ...しかも部屋と逆だし...」

仕方ないか...と また中心街へと来た道を戻る

「はぁー やっと何とか見覚えのある所まで来たわ」

七瀬と別れて2時間は歩いていただろうか...

さすがにヒールでそれだけ歩けば足が痛くて
通りを走るタクシーを拾い部屋に帰った

「あぁ~ 疲れた~」

ソファに足を上げて横になり1人そう呟くと
お腹が空腹を訴える音が鳴る

「そう言えば今日 何も食べてないわ...何かあったかしら」

冷蔵庫を開け中身を物色するが すぐに食べれる物はなかった

「あぁぁぁぁぁ何か買ってくれば良かったなぁ....」

仕方がないから簡単なものを作り
せっかくだから...と今日はお酒を抜いて
疲れた身体を癒そうと湯船にお湯を張り
香りのよい入浴剤を入れバスタイムを楽しんだ

仕事を中心とした生活...バタバタと過ごす毎日...

何も考えず あんなに歩いたのは本当にどれくらいぶりだろう...

途中迷子になって引き返して やっと帰ってきた自分の部屋...

「迷子かぁ...
心が向いているところに辿り着けない私...心も迷子だわ」

今日のように引き返せば何か変わる?

どこまで引き返せば良い?


引き返せるなら.....好きになる前....だよね....
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

友達になった2人

待ち合わせのオープンカフェに行き七瀬がわからず
キョロキョロしてるとジーンズにTシャツの男が手を振る
近寄ってみると朧げに記憶のある男...

「ナナミちゃん?」

「あぁ...」

「顔覚えてなかったんだな...」

「なんとなくね わかるかな~って思ったんだけど」

「わかんなかったわけね....」

2回目だというのに それを思わせないのは七瀬のキャラのせい?

「で、なんで私だったの? やっぱ営業?」

「疑い深いなぁ 違うってば営業ならこんなカッコで来ないし」

「ふふふ まぁいいわ」

お客様以外で全く知らない人と話したのなんてどれくらいぶりだろう
友達と言ってもレイコにマサにゆなの3人...あ...東さんもか...
でも親しい3人以外...いない・・・自分も女だけど
新しく女の友達を作るのはこの年じゃ面倒なんだよね

そんな話を笑いながらする

七瀬は結構 仕事(ホスト)以外の友達もいるらしく
それなのに何故 私なんだろうと言うと

「ん~ なんとなく? 仕事関係ナシで話してみたいと思っただけ」

「ほぅ さすがホストくん」

「それ やめてってば
ほんとにね...あの雑踏であんな派手に転んで
地面に這いつくばってる人に興味もっただけ」

「.....めったにいないからね」

「いや全然いないよ?」

そうだよね普通に考えれば大丈夫ですかと声を掛けられ
皆に見世物のようになってたら よほど大怪我してないかぎり
俯いてずっと地面に這い蹲ってないよね...

「珍しいもの見れて良かったでしょ~」

「うん おかげで友達になれたし」

「友達なの私達?」

「恋人じゃないしなぁ.....全く知らないわけじゃないし」

「友達になってほしいわけね?」

「あぁ....簡単に言えばそうだね あっ、ちなみに俺好きな人いるから
間違っても口説いたり襲ったりしないから安心してね」

「それは、それはご丁寧に」

特に悪意も何もなさそうだし キャラ的にも良いし こういうのも良いかも

その日は散々カフェでお喋りをして
じゃまた今度...と言って七瀬と別れた

寂しさに襲われ...

平凡に何事もなく過ぎていく1週間...
気がつけば土曜日を迎えていた

あれから日向さんは来ない...
私が営業しなければ もう1人で来ることはないのかな
ううん...営業しても来ないかもしれない

そう思うのに私はあの一夜の事が忘れられないでいる
あの優しい笑顔も声も指も...全てを思い出すと胸が痛い

できるだけ思い出さないように考えないように
平然を装い過ごしていても ふと思い出すと
1人とてつもなく寂しさに襲われる...

「会いたい....声が聞きたい....」

でも
会ってしまったら...声を聞いてしまったら...

でも.....会いたい


そんな気持ちが強いまま仕事に行きテンションを上げるため
早い時間からはしゃいで飲んで...閉店を迎えず潰れてしまった

「ナナミ大丈夫か?」

ロッカールームで突っ伏してる私にマネージャーが声をかける

「はひぃぃ...だいじょーぶです」

「今日はもう指名も帰ったし早上がりしろ」

「ふぇ~ すいませんですー」


ヨロヨロになった私をボーイがタクシーに乗せてくれ
何とか部屋に辿り着き そのままベットに倒れ込んだ

喉の渇きで起きると頭は痛く二日酔いそのもので
水をガブガブと飲み熱いシャワーを浴び
再びベットに入りゴロゴロしていると 携帯がメールを受信した

≪ナナミちゃん元気? 怪我は治った??
まさか また転んだりとかしてない??≫

≪転んでません!!怪我も治りました!!
だけど あんまり元気じゃないかな 二日酔いだし...≫

その後も何回かメールをやり取りしてると午後にお茶しないかと誘われ
せっかくの休みに1人でゴロゴロも...と思いOKした


「寂しさも紛れるかもしれないし.....」

そんな事を思いながら約束の時間 約束の場所に行く...
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬からのメール

ネイルの予約をキャンセルしタクシーで部屋に帰った私は
擦り剥いた膝を消毒し薬を塗りガーゼを貼って
少し早いかとも思ったけどレイコの部屋に行った

「ナナミ どうしたのその足」

「転んで擦り剥いちゃって...」

「あーあ...」

彼氏が居るから話もそこそこにレイコと一緒に夕食を作り
少し早い時間から食事を始め酒を飲み騒ぎ...部屋に戻り

「何か飲み足りないわ...」と呟き

1人ワインを開けて飲む

今日の事を思い出すと憂鬱になったけど
あの変なホスト...七瀬を思い出すと何だか笑えた

気がつくとワインはもう空に近く いい感じに酔いも回っていて
そう言えば...と
七瀬の名刺を取り出し書いてあるアドレスにメールを送ると

≪今日転んだのを助けてもらった橘ナナミです
ご迷惑をかけちゃんとお礼も言えずごめんなさい
今日はほんとうにありがとうございました≫

ホストかぁ...そう言えば1度も行ったことないなぁ...

その後1人ワインを空けた私はシャワーを浴び
ベットに入るとすぐに意識を失い
次の日起きてコーヒーを飲み携帯を覗くとメールが受信されていた

≪わざわざメールありがとう
大丈夫!別に迷惑はかかってないので気にしなくていいよ
転んだ時の怪我は大丈夫?痛くて泣いてるといけないので
お見舞いに写メをつけておくね
それじゃお大事に       七瀬 涼≫

添付された写メを見ると七瀬とその仲間であろうホストの変顔だった...

「ぷっ...なんて顔してんのよ せっかくのイイ男達が...」

それを見て私は七瀬にメールを送り返す

≪とても素敵な写真をありがとう
おかげさまで涙も痛みも止まりました≫

すると今度はすぐにメールが返ってきた

≪やっぱり恥ずかしさと痛さで泣いてたんだ~
って...そんなわけないやん?
でも まぁ...笑えたんなら良かった
んじゃ 俺は勤労ホストなので営業に行ってきます≫


あはは さすがに擦り剥いたくらいじゃ泣かないよね
っていうか朝...10時?こんな時間から営業か大変なんだなぁ

...人ごとじゃないわ私も営業しなきゃ
THEME:恋愛小説 | GENRE:小説・文学 |

七瀬 涼との出会い

時はほんの少し遡り~

雑踏の中を歩いていた私の後ろからトーンの高い女性の声が聞こえる

「ちょっと!もう!ひろと!聞いてるの?昨日言ったでしょ!?」

えっ...今....弘人って? その瞬間私は足を止めてしまった
すると後ろから歩いて来た人に背中を押すようにぶつかられ
ヒールを履いていた私はよろめき派手に転んだ....

「っっ...たぁ....」驚きと痛さに声という声が出ず
避けていく人々が見ていると思うと恥ずかしく
早く立ってこの場を去ろうと起き上がろうとした時

「あっ!!ごめんなさい...大丈夫ですか?」

さっきの女性の声が聞こえた...
顔を上げるに上げれない...

ひろと というのが日向さんだったら...

「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」

前屈みに俯く私に聞き覚えのある男性の声が聞こえる...


あぁぁぁ...やっぱり・・・
なんでこう間が悪いというかツイてないというか...
私は前世で凄い罪を犯したんじゃないかと
くだらないことを考えてしまう...

私はちょっと低く声を変え

「あ、あ、、いえ全然大丈夫なので...はい」

早く立ち去って欲しい...そればかりを願う

「え、でも.....ね..ひろと...どうしよう...」

「宜しければ手をかしましょうか?」

いや いいんだってば...見たくないのよぅ....

「いえ、、本当に1人で...」

と言いかけた時 誰かが私の腕を掴み

「大丈夫?こっちよけて??」と

私を立ち上がらせ道の隅に連れて行ってくれた
顔を上げると全く知らない男性で
恐る恐る振り返ると まだこっちを見る日向さんと女性
慌てて顔を背けると

「何?知り合いだった?ごめん」

「いえ...知らない人です」

「ふ~ん」

と言うとその男性は向こうに向かって

「大丈夫だそうです」と言ってくれ

私に「もう行ったよ」と声をかけた

「あっ..ありがとうございます」

「・・・・膝...血でてるけど大丈夫?」

「えっ、、ああ...大丈夫です」

「ストッキングも破れてるけど?」

「何処かで履き換えます....」

助けてもらったのは有難いんだけど何だか慣れ慣れしいし
話し方ちょっと変なんだけど...

「なんか怪しいなぁとか思ってる?」

「えっ....」

「まぁ怪しいっちゃ~怪しいけど 大丈夫」

とりあえずネイル....は無理かな この姿じゃね....

「どこまで行くの?
1人歩くの恥ずかしかったら一緒に行こうか?」

「あ、いえ...大丈夫です」

「そう?ほんじゃ....
あ!俺ここで働いてるから気が向いたら来て? じゃ~ね~」

名刺を手渡し明るく笑いながら去って行った男性は

「七瀬 涼.....ホストか・・・・ふ~ん」

でも助かったな...日向さんに顔見られたかもしれないけど

まぁいいや

雑踏の中聞こえる声に

あれから10日...日向さんには会っていない
営業メールをしようかとも思ったけれどもできないまま...

土曜日にしてはバタバタと忙しい店内で
指名の席から次の指名の席へと変わろうとしていた時

「よぉ~ナナミちゃん久しぶり~」

藤木さんが久しぶりに来店した その後ろに2人の男性
1人は....日向さん.....

顔をみるとやっぱりドキドキしてしまう...だけど
藤木さんは私の指名ではないので
指名客に着いてる私は呼ばれる事はない....

私は自分のお客様の接客をこなし
順に帰って行く指名客を見送る

2組目の指名客を見送った後お店に戻ろうと歩いて行くと
藤木さんがオーナーママと女性1人と一緒にお店を出てきた

「藤木さん お帰りですか」

「ああ、ナナミちゃんは今日は忙しかったみたいだし またね?」

「ええ、次は是非お席につかせてくださいね」

帰って行く3人をその場で見送る私の胸が少し痛む...


次の日の日曜 
最近 料理を頑張ってるレイコが夕食に招待してくれているので
それまでに予約しておいたエステとネイルに行こうと出かけた

エステが終わると既にお昼を回っていて中心街には人が溢れていた
ネイルをする場所はエステがあるビルから歩いて10分ほどで
予約までまだ30分あるから近くをブラブラしようと....

これが間違いだった...カフェででも時間を潰していれば...

狭い歩道を行き交う人々 それほど多くない車道にも
急ぎ早に歩く人がチラホラといる

そんな中を歩いていると
後ろから聞き覚えのある名前を呼ぶ女性の声がして
私は思わず足を足を止めてしまった...その瞬間

ドンと背中を押されたように後ろの人がぶつかり
ヒールを履いていた私は雑踏の中派手に転んでしまった....

「っっ...」

痛みもあるけれども恥ずかしさの方が大きい...

「あっ!!ごめんなさい...大丈夫ですか?」

その声は私の後ろで
聞き覚えのある名前を呼んでいた女性の声だった...
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友達として....

間が良いのか悪いのか次の日の午後 東さんからメールが入った

≪ナナミちゃん 明日の休み予定がなければ食事行きませんか?≫

メールでお断りも悪いし明日会ってちゃんと話そうと思った私は

≪お誘いありがとうございます
お話したい事もありますので ご一緒させて下さい≫

この返信である程度は予測つくかもしれないけど...
そう思いながら送信すると
すぐに待ち合わせ場所と時間を知らせるメールが送られてきた

そして次の日の日曜
東さんとの約束の時間に約束の待ち合わせ場所へ...
時間より少し前に着いた私の後をすぐ東さんがやって来た

「ナナミちゃんごめん待った?」

「いえ私も今着いたところです」

じゃ..とタクシーに乗り目的のお店近くで降りる

ビルに入りエレベータで目的の階まで行き降りるとすぐに
和風造りで高級そうな暖簾のかかったお店の入口になっていて
暖簾を潜ると和服を来た女性が案内をしてくれる

全てが個室でビルの中とは思えない中庭があり
部屋からはその中庭が見えるようになっていた...

「素敵なお店ですね」

「仕事でね何回か来たことあるんだ」

料理は懐石で仲居さんが順に運んできてくれ
他愛のない会話をしながら美味しい日本酒と共に頂いた
最後の料理が運び込まれ 食べ終わると

「話するには良いところでしょ?
まっ、、、聞かなくてもわかるんだけどね?」

どう切り出そうかと思っていた私に東さんが笑いながら言う

「はい...お気遣いありがとうございます」

そう言ってから一呼吸おいて話を始めた

「東さんのお誘いは嬉しく悩んだんですが...私には好きな人がいます
お付き合いをしているわけでもないし
これから先お付き合いすることは無いんですけど.....それでも...
私の気持ちは今その人に向いています」

「そっか...残念だなぁ....でも仕方ないか 気にしないで?
あ..でもせっかく知り合ったしマサやレイコちゃんのように
友達ってわけには...いかないかな?」

「個人的でなく友達としてなら...でも東さんはそれで...」

「あっ全然いいよ」

そんなものなのかな...って思ったけど
考えたら2度会っただけだし良いなって思ったのもそれだけで
まだ好きとかどうこうじゃなかったんだろうな.....


お店を出た私達は待ち合わせをした場所まで一緒にタクシーに乗り
今日はこれで...と
私はタクシーを降り東さんはそのままタクシーで帰って行った

その足でBARに行くと珍しくお客様がいっぱいで
1人カウンターの隅で物思いに耽っていた

なんだかなぁ....

浮かない顔をしてるであろう私に

「何ブサイクな顔して考えてんだ?」とマサが声をかける

「ブサイクねぇ...そうよね...レイコみたく綺麗じゃないし
ゆなみたく可愛いわけじゃないのに....」

「おい...何真に受けてんだよ」

「ええ? ああ....」

そうだ・・・なんで私なんだろう あんなに綺麗な顔をしてるのに

そんな私を怪訝そうにマサは見ていた...
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昼間の女子トーク

ラインで今帰ってきた事を伝えると すぐにレイコが部屋に来た

「え?何??朝帰り??ってか昼近いんだけど~」

「なんでテンション高いのよ...」

「いいじゃん、それよかやっぱ日向さん?それとも??」

「日向さん...」

「で? 」

昨日の出来事をレイコに話す

「なるほど... ナナミはそのつもりで誘ったの?」

「ん~ なんか勢いっていうか...何ていうか...
もしかして とは思ったけど思いを伝えようかな?みたいな?」

「で、伝える前にやっちゃって どうしようか..と」

「どうしようかって...どうにもなんないんだけどね
お客様として何事もなかったようにできるかな...って」

「諦める方向?」

「ん~ 結局何も聞けなかったし言えなかったけど
何となく...日向さんは必要以上の関係は求めてないと思う」

「なるほどね~ 肌で感じちゃったか...それを...」

「肌で...か...確かにそうなんだけど途中から少し変わったような...」

「途中??」

「うん...最中に好きって言っちゃったんだよね それからかな」

「それをあの最中に言うかね...」

「なんかね わかんないけど朦朧とする中言わなくちゃって思ったの」


まだ お昼になってない時間から女子トークが炸裂する...


「ぷぷ~~~っ ナナミ...朦朧とするほど良かったのね...」

「あ、、いや.....まぁね」

「ほ~ だから余計考えるんだ ふふふ」

「笑いごとじゃないのよ...いろいろ考えたりで...頭いっぱいで...」

「ナナミワールド炸裂して帰ってきたのね」

「・・・・・」

「でさ、ナナミ...
日向さんとやっちゃったのは良いとして東さんどうするの?」

「あぁ...それはやっぱお断りしなきゃね
マサの友達でもあるし ダメでしょ」

「ま~それはそうだけどね .....」


結局 女子トークは長々と続いても行きつくところは
なるようにしかならないでしょ...みたいな...

とりあえずは
レイコも今日は出勤日で一旦気持ちを仕事モードにして

いつも通り仕事をして いつも通り少し酔っ払って

次の日を迎える....
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