染まっていく心 - Loved Sadistically ~サディスティックに愛されて~ fc2 ver.

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キスと好き

キスが...したかった?
信じ難い自分の行動と認めざるを得ない心

悶々としたまま夜は更けていく


あぁぁ!んもう!!やっちゃったものは仕方ない
寝よう..

ゆったり朝を過ごした後は

昨日の行動も気持ちもリセットして
週の始まり 仕事に向けて手帳を確認し
営業メールに営業電話...

シャワーを浴びて昨日買ったおNEWの服を着て
ネイルと美容院

仕事モードでお客様と同伴出勤



よし!完璧!!



のはずが....


時々思い出してはボーっとしてレイコやお客様に
突っ込まれ笑われる始末....


レイコがそれを放っておくわけがない


「マサ!がっつり濃いーのナナミに作ってやって!」

「いや、普通でいいから....」

「で? で?? 何かあったって顔してんだけど何?」

「それ どんな顔なのよ」

「ナナミはほんっとわかりやすいからねぇ」


言わないとうるさいだろうな...
聞いて欲しい気持もあるけど...


「実はさ...昨日.....」

「うん、うん」

「しちゃったんだよね」

「え..日向さん?」

「ん...まぁ・・・・そう」

「なるようになったわけだ
で?久々のえっちはどうでしたか?」

「は? いや....キスだけなんだけど」

「えええ!中学生じゃあるまいし
キスだけでどんだけボーっとしてんだよ」

「・・・・・
キスに対してじゃなく キスしたいと思った自分と
それを行動した自分っていうか....」

「なるほどねぇ 久々過ぎて頭がついていかないんだ」

「かなぁ......」

「好きなんだったら良いじゃない」

「好き....なのかなぁ....」

「あああ!もうウザイわ!!好きじゃないの?
ナナミ最初から好意もってたでしょ」

「えええ」

「自分でわからないの?たぶん誰が見ても
ナナミが日向さんを気に入ってるってのわかるよ?」

「なんか 久々過ぎて自分の気持ちわかんないやー」

「....まぁ色々あったしね...いろいろある中
人に好意を持つとか好きっていうの?
それからも逃げて... 自分から遠ざけてたからねぇ
気付かないふりできなくなったから混乱してんじゃない?」


確かに...
ハルキがいなくなってすぐは何も考えられなかったけど
月日が経つにつれ 男と知り合っても一線引いてたな...
そんな私がなんで夜の世界に入ったんだっけ?

ハルキと出会う前はまぁまぁ遊んでいたのにな...


「やっぱ枯れかけてたのかなぁ」

「それもあるかもねぇ~
キスだけじゃなく やっちゃったらわかるんじゃない?」

「んもー人ごとだと思って~」

「いいじゃん減るもんじゃないし」

「レイコ.....おっさん入ってるよ?」

「あははははは
まっ早く自分の気持ちに自分で気づきなさいよ
自分の気持ちに言い訳つけて否定しないでさ...
だいたい恋愛なんて頭でするもんじゃないでしょ」

「はーーーい」




好きだから....キスがしたかった?


→大人の恋愛のためのラブリッシュラブエッセンス
塗って 香って 熱く 激しく 情熱的に

スポンサーサイト

Deepより少し浅く

すぐに離れた柔らかい唇を愛おしそうに目で追うと
今までと違う男の顔をした日向さんと目が合う...

その目をじっと見つめると再び唇が落ちてきて重なる

息が熱が感触が伝わる...
少しずつ深くなるキスに頭がぼーっとする...

Deepより少し浅く
お互いの唇を銜え合い 弾力感を楽み味わながら軽く舐める...



ヤバイ.....


「んんっ......ぁぁっ」



少し離れた唇が再びチュッと軽く重なり
ゆっくりと離れていった


久ぶりのキスは交感神経を刺激し心拍数上げる

言葉が....でない...


「送るよ.....」

何も言えずただ後ろを歩き
オフィスの入ったビルから外へ出ると
涼しい風が...空気が....酸素が身体の隅々までいきわたる

「だいじょうぶ...です」

「ん? 」

「このまま...送ってもらったら.....心臓がもたない・・・」

クスクスと笑う日向さんは何も言わず
タクシーの止まる大通りまで歩き
私を車に乗せた

「じゃ、気をつけて おやすみ」

「はい ありがとうございました」



走る車の中で少しずつ頭が冴えてくる...


あぁ...流されちゃったかな...
ううん違う

あの時 本当にキスがしたいと思ったんだ...

→大人の恋愛のためのラブリッシュラブエッセンス
塗って 香って 熱く 激しく 情熱的に

触れた唇

落ち着いた間接照明の明かりに照らされた部屋から
夜の街を見ていると
ここがオフィスだと言うのを忘れてしまう

「本当に綺麗...」

少し緊張してる私はソファからまた窓の前に来た

そう言えばハルキとドライブでよく夜景を見に行ったな
飽きずにずっと見ている私に呆れてたっけ...

「ふふ...」

「どうした?」

「ううん 」

ハルキとの事を思い出しても今までのような
何とも言えない切なく悲しい思いにならない自分が
少し不思議で 少し可笑しかった

「もしかして彼氏でも思い出した?」

「ち・が・い・ま・すー
日向さんこそ いつもここで女性口説いてるんじゃないですか」

「えっ? わかる??」

「やっぱり! 」

「「 あはははは 」」


この雰囲気で日向さんに...日向さんの声で
口説かれたら断る女性なんていないだろうな

って何考えてんだろう.....

確かに他のお客様とは違うとは思うんだけど
それがレイコのいう男としてなのか...

男と女とか恋愛とか...わからない・・・

「ナナミちゃん?」

「......は..い...?」

「ぷっ 大丈夫? 」

「あ、大丈夫ですよ?」

「そろそろ行こうか?」

「えっ...あぁ...えっと....もう少し?」

「ぷぷ いいけど.....あんまり居たら口説くよ?」



この雰囲気で日向さんに...日向さんの声で口説かれたら・・・


「いいですよ」

「えっ...」

「あ..あの....いや・・・・アハハハハ」


思わず口に出た言葉に自分で自分に驚いた


「じゃぁ、お言葉に甘えて」

「えっ....」

近づいてくる顔...息がかかりそうな程...

「ぷっ ぷはっ ははははははは」

「ええっ...」

「そんなあからさまに困った顔しなくても アハハハ」

「困った顔?っていうか...
そんな笑うなんてー...ひどーい」


からかわれた?恥ずかしい...でも凄くドキドキした...
絶対顔真っ赤だよ...暗いからわかんない...かな


そう1人心の中で思った一瞬...ほんの一瞬だった

「んっ.....」

日向さんの柔らかい唇が私の唇に触れた・・・

→大人の恋愛のためのラブリッシュラブエッセンス
塗って 香って 熱く 激しく 情熱的に

プライベートルーム

日向さんにエスコートされ乗ったタクシーは
2人が偶然に会った街...

通りを挟んで少し行くと
日向さんのオフィスのあるビルが見える

「ここで...」

止まった車から先に日向さんが降り手を差し出してくれる

「ふふふ ありがとう」

冗談めいた執事ごっこのようなやりとりに笑いながらも
上機嫌で車を降りた

勿論、その後は手を繋ぐこともなく歩き始める


そして向かった先は日向さんのオフィスのあるビル

「ん?あれ ?」

「どした?」

「忘れもの? おしごと?」

「違うよ いいからおいで」


正面玄関の大きなガラス扉から右に歩き
曲がったところに守衛さんがいるであろう小さな部屋
そこでカードのような物を見せて何やら書き込み終わると

笑いながら手招きする日向さん

その横に扉があってカードを掲げるとロックが開いた

しんと静まり返ったフロアに足音が響く

「わぁ...なんかドキドキするね」

「そう? 」


エスカレーターの前へ行き上行きのボタンを押すと
機械音がして動き始めたのがわかる

チン と到着した音が鳴り扉が開く

乗り込んだエスカレーターが上昇し32階で止まった

ここもまた大きなガラス扉で
その横の小さなボックスを鍵で開き
カードを当て数字を押す

「今日はもう誰もいない....か・・・」

独り言を言いながらガラス扉に手をかざし
開いた扉からオフィスへ入った

「大丈夫なんですか 私が入っても?」

「問題ないよ 僕がいるし...」


奥へ進んでいく日向さんの後ろを
きょろきょろしながら着いて行くと
president roomの前で止まった

ここでも何やらごそごそとし鍵を開けて中に入ると
その奥の重厚な扉を更に開け壁のスイッチを押すと
中の間接照明に明かりが灯り部屋を映しだす

高級感溢れる黒のソファがテーブルをコの字に囲んでる

「どうぞ?」

大きなハイビジョンのTV 少し離れたところには
オフィスなのに何故?と思わせる小型のワインセラー

オフィスと言うより豪邸のリビングを思わせる部屋を
見回していると緑の綺麗な瓶の炭酸水を持った日向さんが

「こっち」


ダークブラウンのカーテンの前で
手招きをする日向さんのもとへ行くと
シュッと音を立て開けた炭酸水を手渡しながら

「今日はだいぶ飲んだからコレね?」

「ありがとう」

「ちょっとまってね」

と部屋の扉近くに戻りスイッチを押すと
目の前のカーテンが左右に開いていく

「うわぁあああああああ」

床上30センチ程の所から天井近くまでの
大きなガラス窓からは夜の街の景色...

「すごい.......」

「お気に召していただけましたか?」

「はい.....」

「ここはオフィス内のプライベートルーム」

「日向さんて.....凄い人だったんですね~」

「ん~凄いって事はないと思うけど」

「ううん...凄い・・・」

窓から離れてソファに座る日向さんについて
私もソファーに座った

お店や食事している雰囲気と違い
夜と言う事もあってか少し緊張する.....

偶然からのデート

タクシーは住宅街を少し外れ細い通りの前で止まる
その通りを少し歩けば和風構えの小さな小料理屋があり

「ここね、たまにレイコと一緒に来るんですよ」

と引き戸を開け暖簾を潜ると大将が

「よっ!ナナミちゃんいらっしゃい」と声を張る

後ろから入ってきた日向さんを見て

「おお!今日はレイコちゃんじゃなく
珍しく男前連れだね デートかい?」

「ふふふ そうなんですよ...って大将...
珍しくは余計じゃない?」

笑いながらどうぞどうぞと言わんばかりに
一枚板の木のカウンターに手を差し出す

10人程座れるカウンターには3人の男性が
機嫌良く飲んでいる

その後ろを通り奥に並んで座りビールを頼んだ

「はい今日はこれね」

と大将が差し出す手書きの和紙のメニューを受け取り
日向さんと相談しながら料理を頼んだ

美味しい季節のお惣菜やお勧めのお刺身の盛り合わせ
順に出て来る料理を食べ2杯目のビールが終わった頃

「新潟から美味しいお酒届いたよ どう?」

笑いながら一升瓶を抱える大将に

「勿論いただきます 」

「じゃ~僕も頂きます」


檜の枡に切子のグラスが入れられ
そこに並々と注いだお酒が檜の枡に溢れる
それをそっと持ち上げ口を近付けコクリと飲む

「ん~~~~~おいしい~」

その言葉を聞いて何か言いたげに日向さんが笑う

「あ、、また色気ないとか思ってるでしょ」

「またって、、そんな事言った覚えないよ
ちゃんとそれなりにあるって言ったじゃない」

「いいですよ もう」

冗談気に膨れる私を見ながら

「ほら いっぱい食べて機嫌直して」とまた笑う

日向さんの言う通り
いっぱい食べていっぱい飲んで

気がつけば満席 次のお客さんが入ってくる前にと

「大将とっても美味しかったです ごちそうさま」

お勘定の合図をすると財布を出そうとする日向さん

「今日は私が招待したんだからダメ」と阻止すると

「じゃ~お言葉に甘えて」「大将美味しかったです ごちそうさま」

と日向さんは先に店を出た


お勘定をし店を出るとまたお礼を言う日向さんに
お店に来て頂いてるお礼ですとテレながら返し

来た道を並んで一緒に歩き

細い通りを出たところでタクシーをつかまえると
開いたドアを手で持ち片手を中の椅子に向けて差出し

「それではデートの最後は私が招待致しましょう」

とにっこり笑った

→大人の恋愛のためのラブリッシュラブエッセンス
塗って 香って 熱く 激しく 情熱的に

日曜の偶然

和やかな朝の光がリビングを照らし
コーヒーの香りが漂う

「ん~いい朝だ!今日は...何かあったっけ?」

昨日1日開かなかった手帳を開いてみると
気持ちを新たに出発するに相応しく
美容院とエステの予約が入れられていた

「心機一転にはいいね~」

ゆったりとコーヒーを飲んで
シャワーを浴びて
軽く化粧をして
お気に入りのワンピースを着て

「よしっ!いいねぇ~」

鏡に写った自分を自分で褒めてまずはエステ

スペシャルコースでフェイスもボディも全部磨いて
プロが施してくれるというメイクで完了

「いかがですか?」

「ええ、やっぱり自分でするのとは違いますよね」

「お気に召していただけましたか?」

「はい、ありがとうございます」


お気に入りのカフェで時間を潰して次は美容院

胸まであった髪を肩まで切って
緩くふわっとなるようにパーマして

最後は緩く巻いてもらってサイドを上げてもらって


出来あがり


せっかく綺麗になったから真っ直ぐ帰るのも何だよね
と思い ぶらりショッピングをする事にした私


だいぶ日も落ちた街は賑わい始めてきている


「あ、、これ可愛いな」

いつも行くショップで見つけた
チェックが可愛いホルターネックのミニドレスワンピース

戸惑う事無く購入し店を後にした


「そろそろ良い時間ね」と思いBARに行く為に
通りに止まっていたタクシーに乗ろうと歩いていると
斜め前から聞いたことのある声がした

「ナナミちゃん?」

声のする方に顔を向けるとスーツ姿の日向さんが立っていた

「日向さん、こんばんわ?」

「今日も何かイメージが違うね」

「髪切ったからかな」

「それもあるけど何か違う」

「あんまり見ちゃテレるじゃないですか」

凄い偶然!....でもない
考えれば通りを挟んで少し行けば日向さんの会社があるから
歩いていても不思議ではない

けれども、やっぱり凄くはないが偶然と言えば偶然...

「今からお帰りですか?」

「会社に戻って車出してからね ナナミちゃんは?
そんなに綺麗にしてデート?」

「だったらいいんですけどね」

「ははは、じゃ~レイコちゃんとだな」

「それもハズレ 」

レイコは久々にデートを楽しんでいる
だけどそれはお客様である日向さんには適度に濁す

「そっか、じゃ~俺とデートしよう」

「いいですね~」

「じゃ~決まり 今日は何を召し上がりますか?」

「ふふふ じゃぁ今日は私がご招待しますね」

お酒を飲むだろうと車は会社に置いておくという日向さんと
通りに止まっているタクシーに乗り行先を告げた



日曜のちょっと嬉しい偶然


→大人の恋愛のためのラブリッシュラブエッセンス
塗って 香って 熱く 激しく 情熱的に

大切な友

空腹のままビールを飲んだせいか
両親への報告をしてそのままそこで眠ってしまった

「ん~..あれ今何時だろう・・・」

壁の時計を見るともうすぐ22時になろうとしていた

「お腹すいたな...」

キッチンに行き冷蔵庫を開けてみたが
たいした物も入ってなくて
時間も時間だしバックから財布と鍵を出してコンビニへ向かった

おにぎりとカップ麺を買い部屋に戻ると
テーブルの上で携帯が着信を知らせていた

「あぁ...すっかり放ってたな...」

慌ててテーブルまで行き出たけど切れてしまったから
かけなおすとワンコールで出たレイコが叫んだ


「ちょっと!もう!!何回かけてるし留守電入れてるのに~!」

「あ、、ごめん寝ちゃってて...」

「んも~いいけどさ~」



後日話すと伝えてはいたが心配したんだろうと思い

「レイコ...あのね....」

「なに!なに!?なんかあったの??」

「お腹減ったの...」

「ちょっともう!!なにそれ!!人が心配してんのに~」

「あはは、ごめんごめん...ってかレイコ何処いるの?」

「店だし!!仕事だし!!」

「あああああ...そうだった・・・」

「はぁぁぁぁ大丈夫?」

「うん、マサんとこ行ってるから終わったら来て~?」

「はいはい、わかりました 気をつけて行くんだよ」


電話を切ってBARへ行きカウンターへ座るや否や

「マサ~お腹減った...何か作って~」と項垂れると

「スッピンで来るなり腹減ったかよ...しかも目腫れてんぞ」
と呆れるマサ

「いいから~お腹減ったのよ~早く~」

「はいはい....」

そう言って奥に入りオムライスを作ってくれた

「ひゃぁ~美味しそう~いただきまーす」

「それだけ大口開けて食えるってことは大丈夫だな」

ここで交わすレイコとの話を知っているであろうマサの優しさ...

「うん、ありがと さ~今日も飲もうか?」

「飲まなくていいよ...うるさいから・・・」

とか言いながらしっかり私の好きなお酒を出してくれた


チビチビ飲みながらマサを弄っていると
まだ仕事中であろうレイコがBARに入ってきた

「あれ、、」

「ある程度お客も減ったし指名も帰ったし
早上がりさせてもらっちゃった~ってかスッピン??」

「いいよ、、そこはつっこまなくて...」


いつも通り...元気なレイコと口の悪いマサ
いつも通り...いつまでも....


「んじゃぁ~報告します!」
敢えてちゃかしたように声をあげると

じゃれていたレイコとマサが静かに私を見た

今日の事、自分の思い全てを真剣に聞いてくれた2人

大切な私の友達....

記憶

仕事人間の忙しい父だったが家族思いで優しく
母を本当に大切にしていた...

忙しい父を労い愛した母は家庭的で
幸せを絵に描いたような家族だった

私が中学3年生までは...

受験を間近に控えた私は
胃痛や食欲不振で体調がすぐれない父を心配する母に
働き過ぎだし飲み過ぎなんじゃないの?と
楽観的に答えていた


受験当日 まだ起きてこない父を心配することなく
母に見送られ受験場へ向かった

その日の本命校は頑張った甲斐もあり
自信のある出来で意気揚々と家に帰った

家には誰もおらず買い物でも行ったかな
くらいにしか思わず部屋でゴロゴロしてると
帰ってきた母が不安げな顔で部屋に来て
父が入院すると言った...


楽観していた私は訳がわからず
きょとんとした顔で母に問う

「え?なんで?どうしたの??」

「うん、検査してみないとわからないから その為の入院]

「そうなんだ...大丈夫...だよね」

「うん...あ、、ナナミはどうだったの?」

思い出したように聞く母に上出来だった事を伝えると
”じゃ~受かってるわね”と微笑んだ

そして
荷物を持ってもう一度病院へ行く母と一緒に私も病院へ行った

病院にいるせいか
家に居た時の父より疲れてグッタリとしていたけど
私の顔を見るなり母同様「どうだった?」と聞く
その問いに私もまた上出来だったと伝えると喜んでいた




次の日から様々な検査が行われ、その後審査結果で
スキルス性胃癌と判断された

それも転移が見られるステージⅣ


「手術は困難で抗がん剤を中心に今後を診て行きましょう」

辛らい抗がん剤治療に耐えてた父も1年半で他界...


父が亡くなっても気丈に振舞い私を大学まで入れてくれた母も
大学の卒業を待つことなく父同様癌に侵され他界した


そんな事まで...病気まで一緒ってどれだけ仲良いのよ~と
暫くは悲しみに浸り呆然としていたけど

両祖父母もなく親戚がいるらしいが疎遠で天涯孤独を余儀なくされ
生命保険だ相続だなんだかんだと手続きに追われ大学も休学し
気がつけば半年が過ぎていた

父名義の預金に母名義の預金、僅かだが母の生命保険で
不自由なく卒業を迎え就職したのはいいけど
残る住宅ローンをどうしようかと悩み抜いた挙句
両親との思い出が残る家を手放した





そんな両親の思い出はここ2LDKの1室に詰まっている...


「そうだ、ちゃんと報告しなきゃ」


私はその1室に入り今までの事を両親に報告した


→合言葉は“イカされるんじゃなくイク”~
官能女子養成講座 恋愛とセ*クスで幸せになる

愛と思い出を胸に

部屋に入りドレッサーに写る自分の顔を見て

「凄い顔...」

目は腫れ 泣くだろうと予測し
出来るだけ薄く施した化粧も見事に剥げ
悲惨な顔になっていた

汗ばんだ体を流す為 服を脱ぎそのままバスルームへ
熱めのお湯がじっとりとした体をスッキリさせる

「ふぅ...」

腫れた目に冷たく冷やしたタオルを乗せベットに横たわり
今日ハルキに会いに...義両親に会いに行って良かった
意地を張ってか...そっけない別れをしちゃったけど
お互いちゃんと想い合えてたんだと...
ちゃんと愛し合えていたんだと...

私の幸せを願ってくれたハルキ

ハルキの最後の愛...


大丈夫...私はもう大丈夫...


ほんのりとしか色づいてなかった心も
鮮明さを取り戻し
ぽっかりと空いた穴が塞がって行く

「のどか湧いたな・・・」

温くなったタオルを外し
冷蔵庫から冷えたビールを取り出し
ずっと見れなかったアルバムを開いた

そこには沢山ハルキとの思い出が詰まっていた
笑顔で写ってる写真は本当に幸せそうで
喧嘩ばっかの日々が嘘のようで
幸せだったんだ...愛されていたんだと改めて思った


もう涙は出ない


ハルキと向き合えたから...
ハルキの死を受け入れられたから...

もう泣いてはいけない...悲しんではいけない...

ハルキの最後の愛を受け止めたから...


落ち着いた気持ちで最後の1冊のアルバムをめくると
ハラリと1枚の写真が落ちた


それは幸せそうに笑う両親と私が写った写真だった...

「お父さん、お母さんそちらでハルキに会えましたか?」

ハルキの眠る場所

ハルキの部屋を出て階段を下りていると
「ナナミちゃん こっちでお茶飲みましょう」

と声をかけられ一緒にリビングに入った...


ソファでは義父が1人コーヒーを飲んでいる

「ナナミちゃんは...コーヒー?紅茶?
それとも...ハーブティがいいかな?」

「あ、ハーブティお願いします」

義父の座るソファの向かい側に座り
テーブルにハルキの携帯を置いて

「本当に今日はありがとうございました」
とお礼を述べ最後のお願いを申し出た

「あのう...」

「ん?」
優しい顔で義父が私を見る

「もうひとつだけ・・・」

「何...かな?」

「ハルキのお墓は・・・」

「あぁ...ここから車で30分程の所だが...行くかい?」

「はい..お願いします・・・」

静かに3人でお茶を飲んだ後
義父の車でお墓に向う...


午後の空は快晴で暑さが少し増していて
車内のエアコンの風が心地よい...

そう言えばよくハルキとドライブしたな
なんて思い出に浸っていると車が止まった

「ここだよ、駐車場は少し向こうだから
お母さんと先に行ってなさい」

車を降りた私達は
桶に水を入れハルキの眠るお墓へと歩き辿りつく

お墓に水をかけ途中買った花を供えお線香に火をつけていると
車を置いてきた義父が汗を拭きながら歩いてきた


静かに手を合わせ眠るハルキに

ありがとう 愛してたよ...幸せだったよ...
ハルキと出会えて本当に良かった
ハルキとの思い出大切にするね
忘れないよ絶対に・・・


そう心で呟き立ちあがると胸のモヤモヤが
スーっと引いていく気がした


お墓を後にし車に乗ると義母が少し遠慮がちに
「遅くなっちゃったけど一緒にお昼でも...」

さすがに食欲の無い私は丁重にお断りをし
家まで送ってくれるという義父の申し出を受けた


家の前に着き車を降りてもう一度お礼を言うと
「私達もナナミちゃんの幸せを願ってる
良かったらまたハルキにも私達にも会いに来てね」

優しく笑う義両親に笑顔で「はい」と答え車を見送った


→合言葉は“イカされるんじゃなくイク”~
官能女子養成講座 恋愛とセ*クスで幸せになる

最後のメッセージ

持ち主がいなくなった携帯...
残された1通のメール...

見るのを躊躇している私に義母が声をかけた

「ハルキの部屋ね.....そのままにしてあるの
片づけた荷物もその部屋にあって...
ナナミちゃんの物も....」

目の前では読めないだろうと気遣ってくれたんだろう

「部屋...行ってもいいですか?...」

「ええ、もちろん...」


ハルキの部屋は2階にあり部屋に入ると義母は
「下にいるからね?」とドアを閉めた

整頓された部屋...
1人暮らしの頃の僅かな家具とオーディオとTV
雑貨が今もまだここでハルキが使っているように感じる

「ハルキの匂い....」

そう呟きながら腰を下ろしメールを開いた


【ナナミへ】

今までありがとう

最後に言葉できちんと伝えようと思っていたのに
結局は言えなかった

喧嘩ばかりで思いやる事すら忘れていた俺だけど
ナナミと出会い過ごした日々はきっとこの先も
良い思い出として忘れることはないだろう

俺はナナミを幸せにしてやることは出来なかったけど
同じ道を一緒に歩いて行くことは出来なかったけど

ナナミが幸せになれるよう願ってるよ
そして、またいつか笑って話せる時がくる事も

ナナミ
本当に今までありがとう





「ハルキ....ありがとう・・・」
止まっていた涙がまた溢れだした

ディスプレイに大粒の涙がポツポツと落ちていく...

携帯を抱きしめ叫んでしまいそうな声を抑え
蹲って泣き続けた...


思いやれなかったのは私も同じ
言葉に出来なかった想いがあるのも同じ
感謝の気持ちがあるのも同じ

そして、、、ハルキの幸せを願っていたのも・・・


「ハルキ・・・」



痛む胸を抑え顔を上げて涙を拭う...


私も...ハルキとの事は絶対に忘れない
幸せだった日々も喧嘩した日々も...

「ありがとう...」


小さく言葉に残し部屋を後にした・・・

→大人の恋愛のためのラブリッシュラブエッセンス
塗って 香って 熱く 激しく 情熱的に

それぞれの想い

仏壇の前に座り呆然としている
私の少し斜め後ろに腰を下ろした義母が
独り言のようにポツリと

「もう3年・・・・・」

その声はやはり少し悲しげで
子供を亡くした母親の哀傷を思わせた


そして少しの間をおいて

「ナナミちゃん...ありがとうね」

「えっ?」

お葬式以来連絡も何も全くしなかった私は
薄情な子だと...そう思われていると思ってた...

「ハルキに聞いたわ」

私との結婚はなくなった...別れたと
あの日...最後の会話をしたあの日
夜遅くに義父と共に聞いたと義母は言う...

「そ...う....だったんですか・・・」

「訳を問い詰めようとしたんだけど、お父さんに止められてね」

「すいません...わたしが....」

「あ...違うのよ責めているんじゃないの」

そう言って義母は、義父が少し前にハルキから
それらしい話を聞いていた事
義父がしっかり話合って
2人でちゃんと決めて報告しなさいと言った事
あの日義父に止められた後落ち着いたら
ハルキと話をしてから私を呼んで謝ろうと思っていた事

それらを私に話してくれた

「でも、ハルキがいなくなって...どうしようか迷ったの
ハルキがいないのに何をどう言っていいかわからなくて...
謝るだけ謝ろうかともお父さんと話たんだけど
ナナミちゃんを余計に辛くさせるだけのような気がして...」


悲しそうに話す義母に

別れに応じた私がハルキに会いに...
ここに来ていいものかどうか悩んでいた事を話した

そして
話しもひと段落ついた頃 義父が部屋に入ってきた

「遅くなってすまない...ナナミちゃん」

「あ..いえ・・・ご無沙汰しています」

お茶を入れ直してくると言って
義父と入れ替わり部屋を出た義母...

義母が座っていた所に腰を下ろした義父が

「ナナミちゃん...来てくれてありがとうな
それとハルキとの事はすまなかった.....」

と悲しそうな顔で私に言った

「いえ、、私が至らなかったので...申し訳ありません」

「どっちがどうとかは私達にはわからない...
今となっては ハルキの親として...ケジメとして
謝ることしかできない
別れに至ったことについては...
2人が納得していたのならそれでいい...」

「はい...」


一瞬の沈黙...それを破るように入ってきた義母に
義父が目をやるとお茶を置き私に携帯電話を差し出した

それはハルキのものだった...

「えっ....」

「メールがあったの...ナナミちゃんへの...」

送信されていないメールが1通


私宛にだった...


→合言葉は“イカされるんじゃなくイク”~
官能女子養成講座 恋愛とセ*クスで幸せになる

言えなかった言葉

ハルキの実家...義母の家は2駅向こうの街

5月の半ばだというのに初夏を感じさせる今日
甘い物が苦手だったハルキが唯一口にしていた
フルーツソルベを持って電車に乗り
見慣れた景色が流れていくのを見ていると
目的の駅にはすぐに着いた

「緊張するなぁ...」

今日の気候のせいか緊張のせいか
体がじっとりと汗ばんできた...

数回...数えるほどしか行ったことがないけど
ちゃんと覚えているもんだ

この店も、あの店も覚えてる...

もう少し...

あそこを曲がって少し行けば...


結婚したら2世帯住宅に建て直そうか
なんて言ってた家は古いけど温かみのある家だ

「ふぅ......よし!」

インターホンの前で気合を入れ少し震える指で押すと
すぐに義母が対応してくれ玄関を開けてくれた

「ご無沙汰して申し訳ありません」

頭を下げる私に義母は優しくにっこり微笑んで

「久しぶりね、どうぞ上がって」と
家の中に招き入れてくれた

「あのう、これ冷たいものなので...」

「あら有難う...後で一緒にいただきましょう」

「はい、、あ...ハルキも好きだったので...」

「じゃ~頂くときに供えましょうね」


まずお線香をと思い仏壇のある部屋に通してもらうと
気遣った義母は私を1人にしてくれた

仏壇の上には最後に見た屈託のない笑顔のハルキ...
お線香に火を付け手を合わせながら心の中で
ハルキに声をかけた


ハルキ...久しぶり
ここに来ていいのかどうかずっと迷ってた
あの別れが永遠の別れになって...

いつからだっけかな...
私達がすれ違うようになったのは...

いつからだっけかな...
私達の心が離れてしまったのは...

ズルイ私は現実から逃げて
ちゃんと向き合うこともなく
貴方に別れの言葉を言わせたんだよね


ごめんね....
最後まで言えなかった言葉・・・




嗚咽をあげ涙する私にふわりと風が纏った


「ハルキ!」


そんな気配がして思わず声を出して
いるはずもないハルキを呼んだ

しんと静まり返る部屋には返事は無く
見下ろすハルキの遺影に胸が痛む

涙も止まり1人呆然としているところに
お茶を持った義母が静かに腰を下ろした

覚悟を決めて

日向さんとのキスの夢を何度も思い出す...

夢を見た時のようなドキドキは薄れてきたものの
夢の中の鮮明なキスシーンだけが脳裏に焼き付いている


そして
未だ思いだすハルキの「別れよう」という言葉


「ん~~もう!」


何とかしたいけど何ともできない歯痒い気持


「やっぱ...過去に触れてこなきゃダメかな」


そう思っては逃げてきたけど

「よしっ!!怖いけど行こう」


意を決した私は早い方が良いだろう
週末にかかる今日...明日1日休みをもらって
土曜、日曜で少しでも...ほんの少しでも
気持ちの整理がつけれれば...

そう考えた私は出勤してすぐにマネージャーに
休みが欲しいと伝えると快諾してくれた


その日はそれ以上は考える事無く仕事を楽しくこなし
レイコの誘いも断り真っ直ぐ家に帰った

レイコは心配していたけど後日きちんと話すというと
わかった...と帰る私に明るく手を振り帰って行った...


家に着いた私は香りのよい入浴剤入りの湯船に浸かり
今日までの出来事を思い出した


「ふぅ~ どうなることやら...」

覚悟を決めるように火照った体に冷たい水を浴びせた
バスルームを出てると少しだけ冷えた体に生温かい湯気が纏う

髪を乾かしパジャマを着て
冷蔵庫から取り出した
冷たい缶ビールをベットに座り一気に飲み干すと
覚悟を決めたせいか何も考えることなく眠りについた



いつもより少しだけ早い朝
コーヒーを飲みながら携帯を見つめる

携帯のディスプレイには義母の名前...


よし!!


呼び出し音が数回鳴ると

「はい 糖山ですが」

懐かしい義母の声が携帯から聞こえる...


「もしもし....ご無沙汰しております...あのう・・・」

「はい?」

「私.......」

「もしかして....ナナミちゃん?」

「はい・・・」

すぐに私だとわかってくれた義母は
以前と変わらない優しい口調で話を聞いてくれた

急な話なのにすぐに来てもかまわない
義母も少し話たいことがあると....

私はすぐに支度をし義母...ハルキの元へ向かった・・・・・

キス

頼んだ料理も食べ終わり
程よくアルコールもまわったところで冬月さんが

「んじゃぁ~男同士でタクシーも何なんで
俺レイコちゃん送ってくよ」

「わ~い お願いします じゃ日向さんナナミをヨロシクぅ~」

店を出て少し歩くとタクシー乗り場がある
近づいていくと数人順番にタクシーに乗っていって
私達の順番の時には1台しかおらず次に来る気配はまだなかった

譲り合いの末「じゃぁ~お先に!」と冬月さんが乗り
私の耳元で「ふふふ頑張ってね」と小声で言い
レイコが乗るとすぐにタクシーは走り出した


そうやってレイコに言われる毎に無駄に意識してしまう

恐るべしレイコのマインドコントロール!

....今度レイコに言ってやろう


少し話していると1台のタクシーが止まった
日向さんと乗り込み「何処?」と聞かれ
住所と目印のコンビニを運転手に伝えた



揺れる車と日向さんの声...

「ナナミちゃん? 大丈夫?? 着いたよ」

「えっ!!」

心地よさにいつのまにかウトウトし...寝てしまったようだ

「あ、、、ああ、、、ごめんなさい」

「ははは 寝惚けてない?大丈夫?ここで良いんだよね」

「あ...はい 今日はほんとうにありがとうございました」


私が降りるとドアはすぐに閉まり手を振る日向さんに会釈する



ふぅ...頑張るどころか寝ちゃったよ
いや頑張る事はないんだけど...


部屋に入り、改めてお礼のメールを送った
まだタクシーの中であろう日向さんの返信は早く

文の最後には
おやすみ 良い夢を...

と書かれてあった



良い夢ね.....


そういえば最近夢なんて見たかな...
単に起きたら忘れているだけなんだろうけど
忘れるほどだから特別良い夢でも悪い夢でもないんだろうな



そんなことを考えたせいなのか...


あろうことか夢の中で日向さんとキスをしていた
何がどうなってキスに至ったのかは起きた時にはもう
覚えてなかったけど...キスだけが鮮明に残ってる


「はぁぁぁぁ....何て夢見てんだろ」




そんな言葉を吐き出しながらも胸はドキドキしていた....

アフター

閉店した店は何となく華やかさを失い雑音だけが響く

そそくさと帰る女性
アフターの為念入りに化粧直しをする女性
何処に遊びに行こうか悩んでる女性


「おつかれ~ナナミ~」

「おつかれレイコ」


携帯を見ると1通のメールが来ていた
タップして開いてみると

≪そろそろ閉店?
友人と軽く食事してるんだけど来ない?≫

日向さんからのメールだった
レイコを誘いOKのメールを返し店を後にした


「同伴にアフターですかナナミさん?フフフ」

「お腹減ったし丁度いいでしょ?」

「んま~色気ない女だね~」

「色気より食い気ですから~」


あれ...このフレーズ.....

お店に入り店員に先に連れが来ている事を伝えると
こちらです...と席まで案内してくれた

「おまたせしました~」

元気よく声をかけるレイコの横で微笑んで会釈する

4人崖のテーブル席に向かい合わせに座っている
日向さんとその友人

背を向けていた友人がレイコの声に反応してこちらを見ると
その人はランチの店の男性だった

「あっ.....」

「どうも~ この前はありがとうね」

「あ、、はい、、、」

「日向の悪友の冬月和磨で~す」

「どうも ナナミです 彼女は...」

言いかけたところに元気よくレイコが

「とりあえず座っていいですか~?」

と言いながら、すかさず冬月さんの隣に座った


元気は良いものの最初は大人しめに話してたレイコも
話上手でレイコに劣らず元気な冬月さんにつられ
いつのまにか場はどの席よりも盛り上がっていた



今までのお客様とは全く違う楽しさを感じる


そう思っている事をレイコは感じ取っているんだろう





恋なのか...



日向さんを好き?...



まだ自分でもわからない・・・

意識

「美味しかったぁ~ ごちそうさま」

「ナナミちゃんはほんと美味しそうに食べるね」

「ふふ...色気より食い気ですから」

「それなりに色気もあるよ」

「それなりに....ね」

「魅力は人それぞれ」

「ん~褒められてるのかな~」

「褒めてるんだけど?」

「ふふふ...」

「そろそろ時間だね行こうか」

「はい」


貴方の為に綺麗に着飾って
貴方の待つ場所へと急ぐ...

ううん

これは仕事。

私自身を綺麗に見せる為に着飾って
私を待つお客様のところへ...



今夜は
日向さんからのお誘いで食事をしてお店へ出勤

まだ3回目だというのに
もっと前に知り合ったような...

それはやっぱり
あのランチからの1日があったからだろうか...


それとも・・・


店にはまだそれほどお客様もなく
待機していたレイコが元気に席についた

いつにもまして よく喋るレイコ
それに答える日向さん...

お酒が入る毎に日向さんの声が心地よい


「ナナミ?またどっかいってるよ!!!」

「えっ?」

「ナナミちゃんどうしたの?酔った??」

「あ、、いえ、、、大丈夫です」

「最近ちょっとだけ変なんですよナナミ
日向さん何とかしてあげて下さ~い 」

「っちょ..レイコ」

「そうなんだ、じゃぁ~何とかしようか」

「ええっ...」

「あはははは お願いしますね~」



あ~あもう...
そんな事言ったら意識しちゃうじゃない

えっ、意識?・・・・


「じゃ日向さん失礼しますね、ごゆっくり~」

指名が入って席を離れるレイコ

「レイコちゃんは明るくて元気だね」

「レイコが元気無い時はお腹減ってる時だけなのよ」

「ぷはっ ナナミちゃんもじゃない?」

「私は......」

「ん?」

「そうかも アハハ 」


無くなったグラスに水割りを作り
日向さんに手渡す...

しなやかながらも男っぽさのある手...指...


ドキッ



えっ...今・・・



何意識してんだろ...

→合言葉は“イカされるんじゃなくイク”~
官能女子養成講座 恋愛とセ*クスで幸せになる

葛藤

あれから1週間...
考えないでおこう 思い出さないようにしよう
そう思う事が考えてることなんだけど

何か胸が痞えて...モヤモヤして...


そんな気持ちをレイコが察しないわけがなく


「ナナミ~ここんとこ陰気臭いね~」

「疲れてんのかな~」

「心が?」

「ん...な~んかねスッキリしなくて」

「欲求不満かぁ~?」


欲求不満?
何を欲求してるんだ?

違う...

葛藤してんだよ...心の中に相反する欲求...
思いに迷ってるんだ


胸の痞え..モヤモヤをどうにかしたい
どうすればいいんだろう...
わかりつつある答えを自分で難しくして
結局は、まぁ~いいかと逃げる

どうしよう...
まぁ~いいか...
だけど、このままじゃ...
でも、、どうしていいか...

でも、でも、、だけど、、、



「ナナミ? ナ・ナ・ミ??」

「へ?」

「へ?じゃないわよ!!ったく...
もうね~いっそのこと抱かれちゃいなさい!」

「は??」

「は??じゃなくて日向さんにっ!!」

「なんでよ?」

「なんかそうすれば丸くおさまる気がして!」

「おさまらないわよ、、ってか...なんで日向さん・・・」

「男のモヤモヤは男で解消!!」

「解消....できるのかなぁ~」


適当にはぐらかしてチャカすのはレイコの優しさ
真面目に真剣に話すれば私が落ちるのを知ってるから
そして乗り越えるのは私だから 下手な慰めはいらない
それを知っているから

それでも1人の夜は辛いだろうからと
少しでも一緒にいてくれるレイコ...

そういえば...


「レイコ....」

「なあ~に??」

「あんた人の事ばっか言うけど彼氏はどした?」

「あら お構いなくぅ~
私はナナミと違ってちゃんとしてますよ~」

「そっか」

「なんだぁ~羨ましいのか~?コノヤロウ」

「どうだろ」

「だ~か~ら~ 日向さん?」

「それ、、ちょっと忘れようよ?」

「わすれな~~~~い」



恋はしたいと思う


けど.......



何をどうしたらいいんだろう

やじるしマンネリS●Xライフにさよなら。アブノーマルプレイの集大成
変▲S●X図鑑愛蔵版

3年...

ほんのりと柔らかな間接照明の明かりが
真っ暗だった部屋をぼんやりと映し出す
それはまるで無色の心がうっすら色づくように...


部屋に戻った私は酔いもあってか
少しの間ボーっと座っていた...


ハルキ・・・


ハルキの事を考え思い出すなんて...


考えないようにしていた
考えると最後の別れの言葉を思い出すから

ずっと感じていた別れだけど
ハルキとの別れが永遠の別れになり
何とも言えない感情が心の色を消していった...



何気なくテーブルに置いた携帯を手に取り
映し出された画面をぼんやり見つめると
時計の下に映し出される月日に目がいった...


5月....


「そっかぁ...5月か......だからかな?
ハルキの事思い出したり考えたり.....
3年になるんだ....ハルキ.....」


ハルキの死から3年


四季も感じることなく ただ..ただ...流れた月日・・・



お葬式を最後に義両親の所へも行っていない...
お墓が何処にあるのも知らない...

婚約者だったのに...

そう婚約者だった...


過去の事


ハルキが永遠に眠る前の日までは...




行けば何かが変わる?


逃げて...向き合えず別れることになって...
それが永遠の別れになって...


その現実からまた逃げて...



「ハルキ...何で死んじゃったのよ.....」




いつの間にか眠りにつき
カーテンから漏れ入る光が遅い朝を気付かせた...

→合言葉は“イカされるんじゃなくイク”~
官能女子養成講座 恋愛とセ*クスで幸せになる

思い出に...

BARに着くや否やレイコが捲し立てるように

「で?どうだったの昨日??」

「何が~?」

「デートよ!デート!!」

「だから~デートじゃないってば」

昨日のランチからの経緯を簡潔にレイコに伝えると

「そうじゃなくって~ナナミ的には?」

「お客様とのお付き合いですけど???」

「本当に?」

「うん」

「お客と言っても今までと雰囲気違う感じなんだけどな~」

「何が違うのよ 同じだよ」

「ううん!違う...何がって上手く説明できないけど
今までのナナミと違う感じよ!」


自分でも何か違う感じはしたけどレイコまでが.....
何なんだろうか・・・


「ってかさ~ナナミ...ちょっとは自分で気づいてるでしょ」

「ん~・・・・・」

「日向さんのこと...どうなのよ」

「どうって言われてもね お客様だしね」


そう今までも紳士的で素敵なお客様と食事したり
アフターで飲んだりとしてきたけど
あくまでも、大切なお客様としてのお付き合いで
それ以上でもなくそれ以下でもなかった

そう考えると昨日の私は...いや初めて会った時からだろうか
今までと少し違う感じはしていた

けど、やっぱり
お客様はお客様だという思いも捨てきれないのも事実で...

「別にお客様だっていいんじゃない?」

「なにが?」

「恋する相手よ!!」

「恋かぁ.....いつから恋してないかな~」

「ハルキに恋したのが最後で...
上手くいかなくなって...
ハルキが遠くに行っちゃって...
ハルキの最後の別れの言葉だけが残って...

そこで止まっちゃってるのかな」

「ナナミ・・・・・」

「ここで...別れを告げられたんだよね」


独り言のように呟く私の顔を悲しそうに見るレイコ

それを察したかのようにマサが空いたグラスを下げ
細やかな気泡が立つピンクのカクテルを置きながら

「何?おまえら黄昏てんだよ?つか、毎日よく飲むねぇ~」

「あはは マサKYだねぇ~」

「そうだよ乙女の気持ちわかんないの~?」

2人一斉に笑いながらマサに言い返す

「乙女・・・・ザルのように酒を煽る乙女...怖えぇ~」


湿っぽくなっていた空気が一瞬にして変わった
彼なりの気遣いというか優しさなんだろう

結局いつものパターンに戻って賑やかに飲み
良い感じで酔っぱらってBARを出た


「レイコ...ありがとね
自分でもよくわかんないけど....」

「うん、なるようになるさ~」

「だね」



久しぶりにハルキの事を考えた夜
そろそろ思い出にしてもいいかな....

やじるしマンネリS●Xライフにさよなら。アブノーマルプレイの集大成
変▲S●X図鑑愛蔵版

1日の終わり...そして、

早い時間から飲んでる私はすっかり酔っ払い
それを気遣った日向さんがタイミング良くお開きにしてくれた

「レイコはぁ~?どうするのぉ~?」

「ああ、私はもう少し飲んでるよ」

「そっか~じゃぁ~今日は先に帰るねぇ~明日お店でねぇ~」

少し呂律の回らない私の言葉にちゃかすように

「はいはい 日向さんを襲っちゃだめだよ」とにやける

「はいっ!大丈夫!!ちゃんと帰れますぅ~」

「日向さんナナミをお願いしますね?」

苦笑いしながら返事をする日向さんの背中を押しながら
レイコ達に手を振りドアを開け店を出ると
もうすっかり暗くなった空とまだ賑やかな街

「日向さん今日はご馳走様でした。凄く
すご~く楽しかったです」

「俺も楽しかったよ 店とはまた違うナナミちゃんも見れたし」

「あはっ、良かった~ちょっとハメ外しすぎたかと...」

「そんな事ないよ。 じゃ~送るからタクシー乗ろう?」

「大丈夫です、
ちょっと名残惜しい方がまた会いたくなるでしょ?」

「そうだな じゃ~また近いうちに店に行くよ」

「お待ちしてますね」


最後の最後はきっちり営業をして
楽しく色づいた1日が終わっていった...



そして次の日 いつも通り仕事を終えると

「はいナナミ!今日はちゃんと報告ね?」

「え?なにを?」

「すっとぼけてんじゃないわよ!昨日の報告よ!」

「あれだけ一緒に飲んだじゃない」

「でも、ナナミ自身の報告はなかったでしょ~」

そう言って
半ば強引に拉致されるようレイコにBARへ連れていかれた

→合言葉は“イカされるんじゃなくイク”~
官能女子養成講座 恋愛とセ*クスで幸せになる

色づく心

自分から誘ったもののどうするか
歩きながら話ながら回転しない頭で考えた末

行きつくのは...いつものBARだった


店の前に着くとまだOPENになってなかった
それもそのはずだ...まだ夕方の5時前だ...

「え?ナナミちゃん開いてないんじゃ・・・」

「少し待って下さいね」

扉に手をかけると案の定ドアは開いた
中を覗くと友人が支度をしている

「マサ~?」

「おう何だ?」

「ちょっと早いけどいいかな~?」

「いや、ちょっとじゃねーよ?」

「うん、気にしないで~」

「・・・・・気にするし...つかレイコとか?」

「いや、、、、」

「ま~いいよ どうぞ」


ニコリと振り向くと日向さんは苦笑いをしていた

「友達の店なんだ」

「そうみたいだね」

店に入ると日向さんは丁寧に

「開店前に申し訳ない」と友人に軽く頭を下げると

「いえいえ お越し下さってありがとうございます」


「あ、えっとね お店のお客様で日向さん」

「で、、ここのマスターだと思われる石黒雅也」

「え、、俺呼び捨てかよナナミ・・・」

「気にしなくていいよマサ」

「ん、、どうぞお好きなところへ」


カウンターのお気に入りの隅っこに座ると
日向さんは その隣にゆっくりと腰を下ろした

「良い店だね」

「でしょっ、」

頼んだカクテルを飲むと醒めかけてた酔いが戻ってくる
程よくまわったアルコールでご機嫌な私

「そう言えばナナミちゃん」

「ん?」

「ナナミちゃんって本名なの?」

「あ?えっ、、、そうですよ...どうして?」

「石黒さんがナナミって言ってたからそうかなって
でも夜の仕事で本名って珍しいね?」

「そうみたいですね お店入った時も言われたんですけど
なんか全然思い浮かばないし...ま~良いっかって感じで
本名にしたんですけどね アハハハハ 」

「そっか~」



弾む会話の中店の扉が開いた瞬間

「あああ!!!ナナミ~!!!見っけ!!
って、、あ、、ああ日向さん アハハハハ 」

「レイコちゃん 元気だね~」

「あはっ でもまだ私はシラフですよ」


元気なレイコが混ざると更に盛り上がる会話
時々弄られるマサ


この流れる時間にほんのり色がつき
少し何かが変わろうとしていた......

→合言葉は“イカされるんじゃなくイク”~
官能女子養成講座 恋愛とセ*クスで幸せになる

誘う

私達を乗せたタクシーは15分程走り
賑やかな大通りを抜け
少し落ち着いた街並みで車を降りた

そこから少し歩いた所にある
如何にも隠れ家的存在な和風構えのお洒落なお店に入る

と、
1人の男性が迎え入れてくれた
ゆっくりと店内を歩き案内をしてもらう

お洒落な木造りの店内は
優しく落ち着いた雰囲気の内装で
ゆったりとしたスペースに
一枚の木目が綺麗なテーブルを格子が囲う

いわゆる半個室的になっていた

案内してくれた男性が
「少々お待ち下さい」と席を離れ少し間を置き
爽やかな甘い香りの食前酒を持ってきた

「ナナミちゃん お任せで頼んであるんだけど好き嫌いある?」

「えっ、、あ 大丈夫です」

そう返事すると日向さんは男性に向かって

「じゃ~頼むよ」と笑いかけた


運ばれて来る料理は和風フレンチで
どれもが鮮やかで美味しく
私達の会話をさらに盛り上げた

会話が盛り上がるとお酒も進む
お昼だというのを忘れて2人でワインを空け
ほろ酔いでデザートのハーブティーを口にする

「ふぅ...美味しかったです」

「そう 良かった、、けど大丈夫?結構飲んでるよね」

「ヘヘ...大丈夫です」

お昼だと言う事どころか営業を兼ねてというのも忘れ
まるでデートかのように楽しんでいる自分に気づかず
まだ話足りない中ハーブティを飲み干し店を出た


店を出ると「少し歩こう」と
大通りの方へゆっくり歩く日向さんに話しかける

「日向さんこの後は?」

「あぁ、、特に何もないけど....」

「じゃぁ~もう少しお付き合い願えます?」


そう口に出た自分を自分で疑った...
お客様にお付き合いはするけど
必要以上自分からこういった事は言わないのに・・・

「いいよ」

そう言って笑う日向さんの顔を直視できなかった

待ち合わせ

昨日結構飲んだにもかかわらず
すんなりと目覚めた日曜の朝

普段あまりしない掃除を丹念にし
洗濯を済ませシャワーを浴びる

「今日はどうしようか...レイコを誘おうか
それとも1人ゆっくりショッピング・・・」

昨日来たお客様情報などを手帳に書き入れながら
頂いた名刺をフォルダへしまう

日向弘人

その名刺を手に

「そういや今日は午前中だけ仕事だとか....」

いつもは日曜はお礼のメールや電話は避けるのだけど...
昨日の話しぶりからメールくらいなら大丈夫そうだと思い
簡潔だけども丁寧にお礼のメールを送った

10分経った頃だろうか
携帯がメールを受信した音が鳴り響き
メールアイコンをタップすると...


≪丁寧なメール有難う
そろそろ仕事が終わるんだけど
もし時間があればランチどう?≫

思いもよらぬ日向さんからの返信だった
特に予定もなかった私は営業を兼ねて
お誘いに乗ろうとすぐにOKの返信をした

≪お誘いありがとうございます
喜んでご一緒させて頂きます
時間と場所はいかがしますか?≫


メールのやり取りの後すぐに支度を済ませ
待ち合わせ場所へ向かおうと家を出ると
レイコから電話がかかってきた

「ナナミ~今日何か予定ある~?」

絶対予定無いだろうと言う口ぶりでレイコが話す

「うふ残念...予定あるわよ」

「げっ!まじ??何???」

「ふふふふふ」

「何よ~アタシを放って何処行くんだよ~」

「あはは 営業よ え・い・ぎ・ょ・う!」

「うへ~ごくろうさまだわ~ で?誰??」

「ああ、日向さんよ」

「ほぉ~ ウフフフフ 頑張ってね」

「何そのいやらしい笑いは!」

「なんでもな~い ご報告お待ちしてま~す」


レイコとのふざけた会話を終えてタクシーに乗り
待ち合わせ場所の駅のロータリーへ

そこには昨日のスーツ姿とは違うラフな格好の日向さんが
既に到着し携帯を弄りながら待っていた


「日向さん?お待たせ 遅くなっちゃってスイマセン」

「あ? あぁ、、ナナミちゃん...何かイメージ違う」

「普段はお化粧も薄くナチュラルで
夜の世界を想像させないように服を選んでるから...
日向さんも昨日とイメージ違うよね」

「あぁ、、会社で少し書類作るだけだったしね」


軽く挨拶と会話を済ませ止まっていたタクシーに乗り込み
日向さんが行先を運転手に告げると
タクシーは目的地に向かい走り出した

日向弘人

「いらっしゃいませ」

お決まりの満面の笑みでお客様に挨拶をする

「今日はナナミ好みのイケメンを連れてきたぞ」

笑いながらそのイケメンの横にどうぞとばかりに
ソファをポンポンと叩く紳士は例の藤木さんだ

「ようこそ ナナミです宜しく」

名刺を差し出しながら自己紹介をし水割りを作り
コースターにグラスを乗せたところでレイコがやってきた

「いらっしゃいませ」

一連の挨拶を済ませ皆でグラスを合わせ
他愛のない話から徐々に会話が弾んでいく
4人での会話から1対1の2人の会話へ.....

藤木さんが連れてきたイケメン男性は名前を
日向弘人と言い優しい声で遊びなれた感じの男だった

話題豊富な日向さんとの話は尽きることなく
あっと言う間に時間が過ぎていく...

「ナナミちゃん気に入ったか?」

笑いながら話の一区切りの合間に上手く入ってくる藤木さん
少し冗談めいた会話を交わした後
帰る藤木さん達をレイコと見送る

藤木さんたちが離れて行くのを目にしながら
レイコが笑いながら肘で突く

「ナ~ナ~ミ~」

「なに?」

「良い感じだったんじゃな~い?」

「え?いつも通りよ」

「そっかな~ ヘヘヘ」

「何よその笑い」


確かにいつもより心地よく
ちょっとのめり込んだ接客だったかもしれない

そう思いながら店に戻り閉店を迎えた

そして
いつものBARでいつものようにレイコと飲み
心地よく酔って家路についた

錯覚

ぽっかりと空いた穴は埋まることなく
空虚感を抱えながらも普通に過ごす日々

朝9時
少し遅い起床が当たり前となり
カフェでコーヒーを飲みながら話題作りの為に
新聞や本を読んだり営業したり...
そして帰宅後昼食を済ませ
シャワーを浴び出勤の支度を始める

30歳を過ぎた私が選んだ夜の仕事は
若い子の多いキャバクラではなく

繁華街から少し外れた

20人ほどしか入れない
綺麗で落ち着いた雰囲気のラウンジ


最初は戸惑いも多かったけど
数か月経った今じゃすっかり夜の女性になっていた



支度を済ませ美容院に行くとレイコが来ていた

「ナナミ~おはよ~」
「おはよ~」

綺麗にアップされた髪を鏡で見て
「よし!」と席を立つレイコ

「ナナミ~この時間ってことは同伴じゃないよね
待ってるから一緒に店に行こう」

「うん」

そろそろ出来あがりだという頃に
お客様から今日来店してくれるとメールが来た
返信を済ませレイコに声をかける


「レイコおまたせ~」

「ちょっと早いしお茶でもしてく?」

「そうだね」

お店の近くのレトロな雰囲気の喫茶店に入り
今日来てくれるというお客様の話をし時間を潰した


時間になり出勤し待機に入る
お客様が入る毎に女性が呼ばれ席につく

1組のお客様に着いて少しすると
来てくれるとメールをくれたお客様が来店し
席に案内されると同時に

「ナナミさんお願いします」
マネージャーと呼ばれる男性が私を呼んだ・・・





その後も数組のお客様の席につき閉店を迎えた


「おつかれさまでした」


仕事の後は恒例のBARでの寛ぎタイム


夜の街...
お酒...

無色の私に少しだけ色がついてる錯覚を起こさせる

無色

もっときちんと向き合っていれば現実は変わっていた?

もっと早くに別れていれば悲しい現実を知らずに済んだ?

貴方は最後にどんな思いで・・・



もう、、、2度と会う事はないんだ


別れただけなら....
何処かでバッタリとかあるかもしれないけど


もう.....この先2度と・・・



空虚な心で過ごす日々は何の色も無く
時計の針だけが動いていった



無色のままでも心に穴が空いたままでも
彼との思い出...彼の死は過去の出来事になっていく・・・


そして


彼の死から2年が過ぎ....もうすぐ3年...
新しい恋をすることも無く何気ない日常を繰り返す



恒例となった友人のBARでの女2人の女子会

「ナナミ恋しないの?」

「ん~」

「まだ.....あれか・・・だめか....」

「ん~そんなんじゃないけど...」


別に忘れられなくて悲しくてとか
もう2度と恋なんてしないとか

そんな風には思わないけど
別に恋しなくてもいいかなとは思っていた

彼とのすれ違いから逃げる為に打ち込んだ仕事も辞め
何故か夜の仕事を始めた私
そんな私を心配してか興味本位だかわからないけど
同じく夜の世界に入ったレイコ...



何か変わったようで変わりのない日々はまだ無色のまま・・・


私は一体何がしたいんだろう・・・

彼との最後の会話

婚約者の遠山ハルキとの待ち合わせに少し遅れ
急いでいつものカフェに入ると
彼は小さく手を挙げ微笑んだ

「ごめんね」

「うん」

他愛のない話をしながらも緊張が伝わってくるのは
その日の3日前に彼から話があると言われていたから...

「ね?何か話があるんじゃないの?」

「あ.....うん・・・場所変えようか・・・」

何となく話の内容に気付いてる私は敢えて
いつも一緒に行く私の友人が経営するBARを選んだ

8人掛けのカウンターの奥の死角になる場所に
4人掛けのボックスがぽつりとある店
そのボックス席に座り飲み物を頼んだ

沈黙の中グラスの中だけが減っていく


カラン....

彼がグラスを置き中の氷が音を立てた時
彼が静かに口を開いた


「七海......」


その先に出てくる言葉はわかっていた

「ん?」

「別れよう」


やっぱり....


「いいけど...お義母さん達にはどう?」

「俺からちゃんと説明はする」

「そう...わかった....」

長年の付き合いもあっさり終わっちゃうんだな
なんて思いながらグラスを傾けた


婚約していたけど
すれ違いが続き会っても喧嘩ばっかで
彼の心が離れてるのにも気づいていた

だけどズルイ私は自分から別れを告げられなかった......



これが彼との最後の会話・・・
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。